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ブックマーク / p-shirokuma.hatenadiary.com (22)

  • 40代の終わりに、年の取り方について私が考えていること - シロクマの屑籠

    残り時間がどれぐらいかわからないなかで、どう日々を過ごし、年を取っていくか。 1975年生まれの私は、今、40代最後の時間を過ごしている。40代のはじめのうちは、中年になったことの驚きがあり、そこに今までに無い面白さを見出していた。その驚きと面白さを言語化したのが『「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか?』だったが、5年以上の歳月が流れ、当時の驚きと面白さは過去のものになった。老年期が始まった時に再び面白さと驚きを発見するかもしれないが、現在の私は中年期のたぶん真ん中にいて、とにかく中年をやっている。 そうしたなか、40代最後の時間を全力で駆け抜けてきた。寿命が縮むような橋も渡ってしまっただろう。そのかわり自分がやりたいことをやりたいように・悔いの残らないように挑戦できたのはとても良かったと思う。 年を取っていくスタンスには大きな個人差があり、年齢の数字にこだわ

    40代の終わりに、年の取り方について私が考えていること - シロクマの屑籠
  • 限界編集者さんと過ごした日々 - シロクマの屑籠

    これから、ある編集者さんとづくりをしていた頃のことを書いてみる*1。あらかじめ断っておくと、これは私個人の感想であって客観的な論述ではない。すべての編集者さんがそうだとも、そうであるべきだとも思えない。ただ、私はその編集者さんに引っ張られて、感化されて、凄い経験をさせていただいた。そのことを文章化したものだ。 「限界さん」という編集者 これまで私はさまざまな出版社の編集者さんとや記事を作ってきたが、編集者という職業のイメージが今でも掴みきれていない。彼らは個性的で、それぞれのポリシーや性質に基づいた、それぞれの仕事の進め方を確立している。 これから話す編集者さんのことは、旧twitter(現X)にならって「限界さん」と呼んでおこう。 限界さんはとある出版社に勤務し、たくさんの出版物を手掛けている。著者としての私から見た編集者さんは、複数の著者を相手取って同時進行に仕事をしているから、顔

    限界編集者さんと過ごした日々 - シロクマの屑籠
    soramimi_cake
    soramimi_cake 2024/03/29
    小説云々初知りな位氏を視界の片隅でたまに追う程度になってたんだなぁ自分/そこまでやった結果20年来刻み込まれたシロクマ氏の書き癖や思考の癖がかき混ぜられて良い本になっているか、読んで確かめてみる事にしたい
  • 現代人は本当に思想に飼われている - シロクマの屑籠

    president.jp リンク先の文章は、拙著『人間はどこまで家畜か』を一部引用しつつ、ひとまとまりの読み物として再編成しプレジデントオンラインさんに載せていただいたものだ。私たちは資主義にいいように飼い馴らされ、その資主義をますます充実させるための資の乗り物、それか家畜として使役されちゃっていませんか? といった話が中心になっている。 だが、現代人のマインドに根を下ろし、現代人をいいように飼い馴らし、現代人を動機づけている思想は資主義だけでもあるまい。 ぜんぶ挙げようとするときりがないが、『人間はどこまで家畜か』では、現代人を飼い馴らす思想として、資主義に加えて個人主義と社会契約、それから功利主義を挙げている。思想などという実体のないものに何ほどの力があるのか? と疑う人もいらっしゃるだろうし、そうした思想をつくりだしたホッブズやルソーやベンサムといった思想家の重要性は実感し

    現代人は本当に思想に飼われている - シロクマの屑籠
  • 高度な社会の一員になれていますか。これからもなれますか - シロクマの屑籠

    「高度な社会は、それにふさわしい高度な人間を要請する」。 それが言い過ぎだとしたら、「高度な社会に適応するためには相応の能力や特性が求められ、足りなければ支援や治療の対象になる」と言い直すべきでしょうか。 少し前に「SNS上では境界知能という言葉が悪口的に用いられている」といった話が盛り上がったようですね。 president.jp リンク先で述べられているように、知能指数はその人の生きづらさを探る手がかりとして用いられるもので、そうして算出された境界知能も、支援の見立てに用いるための語彙なのでしょう。そしてリンク先では、境界知能という言葉を時代遅れにする動向にも触れられています。どんな言葉にも全人的な否定のニュアンスをとりつけたがりなインターネット民の挙動を見ていると、境界知能という語彙を消すべきだとする人々の考えにも同意したくなります。 そうした語彙の汚染問題はさておき、境界知能や知的

    高度な社会の一員になれていますか。これからもなれますか - シロクマの屑籠
  • 私たちは、自己家畜化をこえて"社畜"になる - シロクマの屑籠

    p-shirokuma.hatenadiary.com 続き。 いつの世にも苦しみや悩みはあるし、その社会・その時代に最適な人もそうでない人もいるでしょう。アフリカの狩猟採集社会に最適な人と、幕末の日の農村に最適な人と、2024年の東京に最適な人はそれぞれ違っています。 ただ、精神医療の受診者の右肩上がりな増加が現代特有の生きづらさをなにかしら映し出しているとみるのは、それほど見当違いではないのではないでしょうか。 近代以前の社会にも、それぞれの時代の生きづらさがあり、適応するための課題があり、落伍者がいました。と同時に、その時代ならではの生きやすさがあり、その時代だからこそ活躍できた人もいたでしょう。逆に、いつの時代でも落伍しやすく、不幸になりやすい人もいたかもしれません。 対して、今日の先進国では医療や福祉が行き届き、人権思想も浸透しているため、近代以前の生きづらさ、特に生存の難しさ

    私たちは、自己家畜化をこえて"社畜"になる - シロクマの屑籠
  • 裏日本出身者から見た東海道新幹線の車窓風景 - シロクマの屑籠

    裏日出身者から見た東海道新幹線の車窓風景の感想を一言でまとめると、「どこも豊かですね」となる。 ビジネスで大阪と東京の間を行ったり来たりしている人にとって、東海道新幹線の車窓風景なんて一生懸命に眺めるものではあるまい。ありふれた風景がどこまでも続く、退屈きわまりないものだろう。 が、それは表日の出身者にとってのこと。裏日出身者から見た東海道新幹線の車窓は、いろいろ刺激的だ。率直に言って、うらやましい景色でもある。人口の集中、鉱工業の発展、肥沃な耕作地と温暖な気候、そして富士山をはじめとする風光明媚な景観。 同じ日でも、裏日と表日には風景に違いがある。そういう違いを前提に、東海道新幹線の車窓風景についてちょっとだけ。 静岡、浜松、大津にのぞみは止まらない 東海道新幹線に乗る人には当たり前すぎることだけど、静岡、浜松、大津にはのぞみは止まらない。そもそも滋賀県には県庁所在地に新幹線

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  • 反出生主義という人類滅亡のミーム - シロクマの屑籠

    ※この文章は、黄金頭さんへの返信のかたちをとった、私なりの反出生主義についての考えをまとめた文章です※ blog.tinect.jp こんにちは黄金頭さん、p_shirokumaです。拙著『人間はどこまで家畜か: 現代人の精神構造 (ハヤカワ新書)』をお読みくださり、ありがとうございました。今回私は、どうしてもこのを読んでもらいたいブロガーさん数名におそれながら献させていただきました。受け取ってくださったうえ、ご見解まで書いてくださり大変うれしかったです。 『人間はどこまで家畜か』を黄金頭さんに献したかった理由は2つあります。 ひとつは、黄金頭さんが書いたこのブログ記事のおかげで『リベラル優生主義と正義』に出会えたからです。 リベラル優生主義と正義 作者:桜井 徹ナカニシヤ出版Amazon 今は8000円台で推移していますが、一時期、このには30000円ぐらいのプレミアがついていま

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  • 丸善京都の熊代亨選書フェア@はてなブログ編 - シロクマの屑籠

    ・丸善京都店、『人間はどこまで家畜か』刊行記念・熊代亨選書フェア ご好評いただいている『人間はどこまで家畜か』にまつわるや問題意識が近いを集めたフェアを、丸善京都店さんで開催していただいています(ありがとうございます!)。そちらで紹介されているについては、京都丸善店さんで実際に手に取ってみていただければと思います。 このブログでは、ぎりぎり選外になったや、値段が高すぎたり難易度が高かったりして紹介をためらった、諸事情から選外に漏れたなどをまとめて紹介したいと思います。 1.ちょっと重たいかもと思って紹介しなかった ヘンリック『文化がヒトを進化させた』 文化がヒトを進化させた―人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉 作者:ジョセフ・ヘンリック白揚社Amazonハーバード大学の進化生物学教授が書いた刺激的な。ヒトの進化が文化を創りだしたのは昔から言われていることですが、この

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  • 教養としての『ダンジョンズアンドドラゴンズ(D&D)』 - シロクマの屑籠

    はじめに ダンジョン飯 1巻 (HARTA COMIX) 作者:九井 諒子KADOKAWAAmazon アニメ『ダンジョン飯』が人気ですね。 ダンジョンで飯をうという非常識がグルメにもギャグにもなっていて、いちおうシリアスな話も進行していく『ダンジョン飯』。今日のお題は、そのインスパイア元っぽいRPG『ウィザードリィ』のさらにご先祖様の『ダンジョンズアンドドラゴンズ』(以下『D&D』と表記)です。 今、『D&D』の雰囲気をいちばん簡単・忠実に味わえる作品といえば『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』でしょうか。 ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り 4K Ultra HD+ブルーレイ[4K ULTRA HD + Blu-ray] クリス・パインAmazon 『アウトローたちの誇り』は、種族も性格も技能も違うキャラクターたちが喧嘩したり協力しながら旅を続ける物語ですが

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  • かつて私たちがいた世界『窓ぎわのトットちゃん』 - シロクマの屑籠

    映画『窓ぎわのトットちゃん』 オリジナル サウンドトラック NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンAmazon ある人から、「シロクマさんは『窓ぎわのトットちゃん』を見ておいたほうがいいと思う」と勧められ、疲れたまま週明けを迎えようとしている連休最終日に観に行った。映画館に来ているお客さんは大半が私より年上で、公開から約1か月にもかかわらず客席は結構埋まっていた。 私は原作を読んでいないし、この作品を作った人たちがどういう狙いで制作したのかを知らない。この作品を自分がどう受け取めたのかを確かめてみたかったので、パンフレットのたぐいを買わなかったからだ。インターネット上での評価や噂話もほとんど知らない。先週までノーマークだったからだ。 「トットちゃんはADHD」では片づけられない世界 映画が始まって間もなく、一般的な小学校に通学するトットちゃんが描かれる。私はまず、ここでスゲーと思っ

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  • 「いにしえの00年代のインターネットへの憧れ」はわかる気がする - シロクマの屑籠

    今の10代の人の間で、「ゼロ年代のいにしえのインターネットへの憧れ」がそこそこ共有されているっぽいのに最近気づいてる— highland (@highland_sh) 2023年12月18日 highlandさんの上掲投稿を見かけて、その少し前に読んだ00年代のブロガーの文章を連想せずにはいられなかった。 amamako.hateblo.jp gothedistance.hatenadiary.jp 未経験な世代の憧れを牽引し、その時代を経験した世代も懐古的に当時を語る、その00年代のインターネットとはどういうものだったのか? 私も思い出したくなったので少しだけ書く。 「当時のインターネットは良いことづくめじゃなかった」という一面 この問題について、同じくhighlandさんは絶対に無視できない一面にも触れている。 おもしろい個人サイトとか、フラッシュ動画とか、2ちゃんの面白コピペとか見て

    「いにしえの00年代のインターネットへの憧れ」はわかる気がする - シロクマの屑籠
  • 命を管理する社会の行きつく先として『PLAN75』を見た - シロクマの屑籠

    疲れ切った身体でブログを書こうとしている。約17年前、ブログを書き始めた頃には何時間でもキーボードを打てたが、当時の私はもういない。午後9時には休みたいと主張するこの身体には老の影が忍び寄っている。しかし70代80代ともなればこんなものではないはずだ。それでも生きている高齢者は実はとてもすごいと思う。現在の私より疲れやすい身体と神経で生きているのもすごいし、現在の私より疲れにくい身体と神経で生きているのもすごい。長く生き、老いても生きることの途方も無さ。そうしたことを思っている折、映画『PLAN75』がアマゾンプライムに来ているのを発見して見てしまった──。 PLAN75 倍賞千恵子Amazon 『PLAN75』は、75歳を迎えた高齢者が自分で生死を決定できる制度が国会で可決された近未来? を描いた作品だ。作品世界では"プラン75"という高齢者が自主的に安楽死を選べる制度を巡って、いくつか

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  • はてなブログの有料記事と「自分のゲーム」がちゃんとできるのか問題 - シロクマの屑籠

    blog.hatenablog.com 昨日、「はてなブログで有料記事販売が可能に」というニュースを見かけた。長年、noteで有料記事を書こうか迷っていた私には嬉しいお知らせだ。「ブログ上の有料記事ならではの文章」を吐き出す経路として活用できるなら、喜んで活用したい。 「自分のゲーム」に貢献しない有料記事は書くべきではない しかし立ち止まって考えてみた時、ブログに有料記事を書いてどれぐらい私自身にメリットはあるだろうか? これは私に限ったことではない。ブロガーそれぞれにとって有料記事をブログで書き、読者からお金をもらうとはどれぐらい優先度の高いことで、どのぐらい代償を伴うものだろうか。 これは人それぞれ、であるはずだ。 有料記事を売ってお金を手に入れる、そのために読者を獲得し収益化するのが最優先のブロガーがいても、ちっともおかしくない。そういう人は収益化に役立つ有料記事を書き、そういうブロ

    はてなブログの有料記事と「自分のゲーム」がちゃんとできるのか問題 - シロクマの屑籠
    soramimi_cake
    soramimi_cake 2023/07/04
    "思えば長いこと、そういう「ちゃんとしたブログ記事としては断片的に過ぎること」を掬い取る場所を見失っていた。10年ほど前ならそれはtwitterに投げてしまえば…今のtwitterでそれが安心してやれるとはちょっと思えない"
  • 娑婆ウォッチ「月曜の朝から勤勉な人々」 - シロクマの屑籠

    皆さん、月曜の朝からピシっとした恰好で出勤・通学されていてマジでスゴイ。 この続きはcodocで購入

    娑婆ウォッチ「月曜の朝から勤勉な人々」 - シロクマの屑籠
    soramimi_cake
    soramimi_cake 2023/07/04
    今のところ購読予定はないが"人間に優しくないことは必要悪"だという趣旨のことが書かれているのか。
  • 水星の魔女はガンダムという伝統芸能をやってのけた - シロクマの屑籠

    <この文章には『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のネタバレを含みます> 機動戦士ガンダム 水星の魔女 HG ガンダムキャリバーン 1/144スケール 色分け済みプラモデル BANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ)Amazon 『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第二期がこないだの日曜に終わった。大団円のエンディング、と言えるんじゃないだろうか。第一期に引き続いて、2020年代のガンダムとして『水星の魔女』は完結した。私はそれをうれしく思う。 2020年代にガンダムという手垢のついた、伝統すらできてしまっているIPの新作を作るのは、とても大変だろうなぁ……と放送前から思っていた。私自身、長年ガンダムを観てきた人間だから、ガンダムと銘打つからには、その作品にはガンダムらしさがあって欲しいと願っていた。歴代のガンダムだってそうだっただろう、ガンダムガンダムらしくない時には賛否両論が沸き起

    水星の魔女はガンダムという伝統芸能をやってのけた - シロクマの屑籠
    soramimi_cake
    soramimi_cake 2023/07/04
    ガンダムのことはよく判らんが、ラブライブ・スーパースターというラブライブという伝統芸能を革新することにもこなすことにも今のところ失敗しているとしか取れない作品がある中では羨ましいことである
  • 自由で平和な日本の脱ー社会的作品『お兄ちゃんはおしまい!』 - シロクマの屑籠

    かつて、アニメやゲームは大人のカルチャーではなく子どものカルチャーであり、メジャーではなくマイナーなカルチャーでもあった。 それが今や、明るく正しい青少年も楽しむカルチャーとみなされ、「大人のためのアニメ」「大人のためのゲーム」といった言葉も飛び交ったりしている。おめでとう! しかしそのせいか、アニメやゲームはマジョリティの言葉で記され、マジョリティのための内容でなければならないと思う人も増えてきた。残念! しかし捨てる神あれば拾う神あり。思うに、『お兄ちゃんはおしまい!』はそんな作品だ。 【Amazon.co.jp限定】「お兄ちゃんはおしまい!」Blu-ray BOX 上巻(【上下巻連動購入特典】描き下ろしB2布ポスター引換シリアルコード付) 作者:ねことうふ東宝AmazonAmazon.co.jp限定】「お兄ちゃんはおしまい!」Blu-ray BOX 下巻(【上下巻連動購入特典】描き

    自由で平和な日本の脱ー社会的作品『お兄ちゃんはおしまい!』 - シロクマの屑籠
    soramimi_cake
    soramimi_cake 2023/04/13
    個人的にかなり好きだった(今も嫌いになった訳ではない)ギャグ・コメディ系同人作家の(二次創作時代と同路線の)オリジナル作品がこんなふうに反ポリコレの旗艦的に論じられてしまう辺りの思えば遠くへきたもんだ感…
  • 均一であるよう人間に圧がかかっている現状と、多様性という言葉 - シロクマの屑籠

    今日の内容はブレストなので根拠・引用を引いてくることはなく、自分自身に向けて書いた内容だ。それでも覗きたいって人以外は回れ右してください。 私は多様性という言葉にいつも引っかかりを覚えている。生物多様性、文化的多様性、そういったものを大切にしなさいと聞いてきた。多様性は大切なものなのだろう、生物学的にも、資主義的にも、個人主義的にも、正当性を伴った統治を執り行ううえでも。 他方で精神医療やってると、なんだよ、多様性って当にやる気ってあんのかよ、という現実も目に飛び込んでくる。落ち着きのない人、不注意な人、対人コミュニケーションに特有の性質のある人、大勢の前でしゃべるのが苦手な人、等々。そうした人たちにさまざまな診断を行い治療や援助を行うのは大切な仕事だ。自分の仕事が患者さんに貢献できていると感じられる。 でも、そこで治療や援助を行って患者さんが「良くなる」「生きやすくなる」って、多様性

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  • 意識が高くなって治療や支援が行き届いた社会だからこそ「なおすべきは、あなただ」と言えてしまわないか? - シロクマの屑籠

    www.kosehazuki.net 昨夜、「「セルフケア」を持てはやすなよ」という文章を見かけたので読んだ。その前にもtwitterで前哨戦のようなフレーズを見かけていたので(参照:これやこれなど)、ああ、そのあたりが意識されるフェーズなんだなと思うことにした。私も前から関心があって、もう少し調べてから言語化したいと思っていた。このセルフケアやアンガーマネジメントの話は、たとえば『チャヴ』でルポルタージュされたイギリスで新自由主義が進んでいった話などとも、自己実現や自己充足といったモチベーションの領域の話とも、自己啓発の領域とも地続きにみえてならないからだ。 チャヴ 弱者を敵視する社会 作者:オーウェン・ジョーンズ,Owen Jones海と月社Amazon魂を統治する 私的な自己の形成 作者:ニコラス・ローズ以文社Amazon日常に侵入する自己啓発 作者:牧野智和勁草書房Amazon

    意識が高くなって治療や支援が行き届いた社会だからこそ「なおすべきは、あなただ」と言えてしまわないか? - シロクマの屑籠
    soramimi_cake
    soramimi_cake 2023/02/16
    個人的にディストピア味が濃いことを付記すると、"会社が悪い・社会が悪い・体制が悪いなどとシュプレヒコールをあげる"選択肢を潰すために今の日本共産党のあのザマとかがこの社会に置かれているのかもしれない…
  • 風呂と戦っている人々 - シロクマの屑籠

    時折、うちのインターネットの観測範囲内には「風呂と戦っている」「風呂との戦いに勝利した」といったメッセージが流れてくる。世間で「風呂は命の洗濯」などといわれるのをよそに、風呂を戦いの対象とみなし、一定の労力というかヨッコラショ感を伴ったかたちで風呂に臨む人たちが存在している。 入浴のできるできないは、一応、精神医療とも関係のある問題ではある。 たとえばうつ病や統合失調症など、精神疾患が一定以上に具合が悪くなると、それまでは楽しみにしていた入浴が億劫になったり後回しになったりすることがある。もともと入浴に抵抗が無かった人が入浴困難になっている時には、なんらか精神疾患が伴っていて、それも結構な具合の悪さになっていることを疑ってみてもいいと思う。 しかし入浴できない人=精神疾患がめちゃくちゃ具合が悪くなっている人、と決めつけるのも早合点だ。実際、そういうわけじゃないのに入浴が苦手な人も世間にはい

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  • 脱臭された聖域でも、ぼっちちゃんの輝く世界は美しかった──『ぼっち・ざ・ろっく』感想 - シロクマの屑籠

    ぼっち・ざ・ろっく! 1(完全生産限定版) [DVD] 青山吉能Amazon 1月1日はアニメ『ぼっち・ざ・ろっく』を観て過ごしていた。まとめてアニメを観ていられる時間がずっと見つからず、元旦しかチャンスがなかったからだ。 よくできた、脱臭の行き届いたアニメだった! 『ぼっち・ざ・ろっく』は、ぼっちちゃんこと主人公・後藤ひとりがバンドに誘われ、コミュニケーションやメンタルに難しいところがありながらも頑張っていき、活躍し、色々な経験をしていく筋書きだ。筋書きだけ書き出してみると、類似したアニメはいくらでもありそうだし、実際そうかもしれない。が、手を抜いて構わないところや手を抜いたほうが映えるところは手を抜き、頑張って描いたほうがよさそうなところは頑張って描き、キャラクターの魅力もたっぷりでわかりやすく、まったく退屈をおぼえなかった。ぼっちちゃんの、オーバーなリアクションも私は好きだ。 このア

    脱臭された聖域でも、ぼっちちゃんの輝く世界は美しかった──『ぼっち・ざ・ろっく』感想 - シロクマの屑籠