調子に乗っていた1年目、プロの厳しさを痛感 1988年のドラフト会議でロッテオリオンズから1位指名を受けた前田幸長は、完成したばかりの浦和の選手寮に入ることになった。そこから川崎球場での合同自主トレーニングに通うことになった。 練習が始まり、ある先輩選手から前田は声をかけられた。 「俺の名前知っているか?」 正直に「すいません、知りません」と頭を下げると、その選手は苦笑いしてこう言った。 「そうか、そうだよなぁ。(ロッテの選手は)テレビ出ていないもんな」 その率直な物言いに前田は思わず笑ってしまったという。 前田がロッテに入る前、名前を知っていたのは、投手の村田兆治、牛島和彦、そして甲子園での投球をテレビで見ていた前年ドラフト1位、伊良部秀輝だけだった。 「あとから愛甲(猛)さんがいるわ、という感じですね。普通はプロ入り前に、選手名鑑を買って、先輩の顔と名前を覚えてから行くのかもしれません