「いその」の表札がかかる古い日本家屋の前に真っ赤なランボルギーニ。法事に呼ばれた和尚が引き戸を開けると、34歳になったワカメが「二人ともすごいひさしぶりじゃない」と笑顔でお茶を運んでくる。「オトナグリコ」のテレビCMでは、25年後の磯野家が描かれている。 イクラちゃんはIT企業のCEOになり、タラちゃんはたこ焼きの屋台を引いている。カツオがなにをしているかはわからないが、野球バットを担いで法事に現れるのだから定職に就いているようには見えない。四半世紀を経て、磯野家にはサラリーマンはいなくなってしまった(ついでにいえば、30代になったカツオもワカメも独身のまま実家に暮らしている)。 『貧乏はお金持ち』(講談社)では一念発起したマスオさんがサラリーマン法人として独立する姿をシミュレーションしたが、やはり、この設定にはちょっと無理がある。サザエさん一家は、ずっとあのなつかしい家で暮らすのが似合っ