自分は忙しすぎる、と気がついた。 「東京にいるときは、コーヒーに関係するような仕事をしていたわけではないんです。僕は経営コンサルティングの会社に、彼女は医療機器を扱う商社に勤めていて、ふつうに会社員として働いていました。 2010年の終わり頃に結婚をしたんですが、結婚をしてから、二人ともコーヒーにハマりだして。それから、仕事にしようとかは何にも思わず、ただ好きだったので二人でコーヒーの勉強を始めました。はじめは本当にただの趣味です(笑)」 そうおっしゃるのは、朗らかに微笑む中村佳太さん。お二人ともコーヒーは元から好きで飲んでいたけれど、結婚してから豆を挽いたり、ワークショップに行って勉強するようになったんだそう。 「そうしているうちに、翌年3月に東日本大震災があって。結婚をして、まだ半年もたっていない頃でした。そもそも僕は結婚をしてから、自分は忙しすぎるんじゃないだろうかということに気が