「人間の身体は成長期を過ぎてしまえば、あとは老いてゆくだけなのだ」 と私は思い込んでいたのですが、どうやらそれは間違いだったと認めざるを得ない今日この頃です。 「こんにちは。鼻毛です」 隙あらば鼻毛の野郎がご挨拶してくるのです。 「いや、おまえにご挨拶されるいわれはねえよ!!」 私はノーサンキューの姿勢を頑なに示しているのですが、鼻毛はそんなことなどおかまいなしといった調子なのです。 若い頃の私は、鼻毛のことなどまったく眼中にありませんでした。 なぜなら、鼻毛が育たないのだから意識しようがなかったからです。 ところが、そこそこのおっさんになった今となっては、鼻毛はむしろ育ち盛りの時期を迎えているらしく、ちょっとでも気を抜くとすぐさま「こんにちは」と勝手気ままにご挨拶してくるのですからたまりません。 もちろん鼻毛が出ているおっさんはかっこ悪いでしょう。おっさんという生き物自体がかっこ悪いのに