前回説明したように、出版社は新刊書籍を刊行すると取次に委託します。この時点では、あくまでも委託であって売れたわけではないので、本来であれば出版社に売上金は入りません。書籍が書店に配本され、顧客に売れて初めて売上が発生するはずです。その売上を、書店、取次、出版社で分け合うことになります。 でもこれでは、本が売れるまでの数カ月間、出版社にお金が入ってきません。出版社は月々のやり繰りに困りますし、余裕がなければ次の本も作れないので、品ぞろえの貧弱になる取次も困ります。このため、取次はある程度実績のある出版社に対しては、書籍が売れたら出版社に入るはずの売上金の何割かを前払いするのです。最終的に書籍がきちんと売れれば、取次も儲かりますし、出版社にもさらに売り上げが入って万々歳なわけですが、前払い相当分すら売れないなんてことも、しばしば起こります。その場合、取次は出版社に本を返して「売れた分と前払いの