銀座線で移動してたら、目の前に座ってた妙齢の東南アジア人女性がいきなり立ち上がって、私に向かって満面の笑顔で「どうぞ、お座りください」。 親切なんだろうけど、そのまま親切を受け取っていいのかという話である。私は別に疲れてない。かばんは持ってるけど別に重くもない。可能性があるとすれば、36歳とは思えないほどの白髪な老け顔だけだ。おお老け顔だとも。 だが席を譲られるほど悲惨な老人のように見えるだろうか。いろんな思いが交錯するけど目の前の東南アジア人女性はにこやかにこちらを見ている。悪気があるとは思えない。その悪気のなさゆえに、複雑な心境から数秒以上脱しきれない。 もしかして、私の後ろに老人や妊婦や怪我人が立っていたとかいうオチだろうか。だが、周囲にそれらしき適合人物はいない。困った。相手も立ち上がった以上、振り上げた拳を下ろす真似はできないのかもしれないが、私も別に座りたくない。 「いえいえ結