もし世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が自民党との関係を深めていなければ、安倍晋三元首相が非業の死を遂げることはなかったかもしれない。そんな「もし」は無意味だとしても、銃撃事件を未然に防げたとしたら、どんな方法があったのだろう。あの人に話を聞くことにした。警察庁キャリア出身の亀井静香元運輸相(85)である。 自民党衆院議員として福田派(清和会)に所属していた亀井さんは、安倍氏が父晋太郎氏の秘書だった青年時代から知っている。彼を「晋三」と呼び、自身が離党した後も気にかけてきたという。銃撃事件について語り始めた亀井さんの声はいつになく小さかった。「確信犯から身を守るのは至難の業だ。警察の力ではなかなか防げない。晋三を狙っている男がいるという情報がなかったわけだから」 事件後に奈良県警本部長が引責辞職し、警察庁長官も退任した。街頭演説する安倍氏の背後の警備が手薄だったのではと強く批判されたが、「