路線バスの「2024年問題」が顕在化し、筆者(西山敏樹、都市工学者)もその専門家としてマスメディアでコメントする機会が増えてきた。その過程で大切にしているのは、不用意に「バスドライバーの給料を上げるべきだ」といわないことだ。なぜなら、少なくとも現時点では“机上の空論”だからである。 【画像】えっ…! これがバスドライバーの「年収」です(計8枚) もちろん一市民として、彼らの給料が上がればいいと思う。しかし、国土交通省の「2022年版交通政策白書」を見ると、そうとも簡単にいえないことがわかる。実際、2020年度には乗り合いバス会社の 「99.6%」 が赤字を計上している。同時に、廃止されるバス路線は1543kmで、2010(平成22)年度から2020年度までの累計は 「1万3845km」 となる。そんななか、2024年問題が顕在化し、バスの運行本数確保が難しくなった上、新型コロナによる在宅勤