~ 専門家は語る(東京メンタルヘルスアカデミー所長 武藤清栄氏)【後編】~ それは、ある日の午後7時。久々に仕事を早く終えたA君は、パソコンの電源を落としながらほっと深い息をついた。なにしろ、この3週間というもの徹夜に継ぐ徹夜が続いていたのだ。その仕事が、ようやく今夜終わった。はっきりいってクタクタだ。 すぐ家に帰って風呂に入り、ビールをあおろう。ちょっとまてよ、その前にレンタルビデオ屋に寄って、前から観たかった新作DVDを借りてもいいな。胸を弾ませながら帰り支度をしていると、とつぜん部長のこんな声が聴こえてきた。 「おいおい、まずいな。また、発注ミスか。大急ぎで仕入先から調達してこないといけないな。だけど、もう時間がないから、誰か直接行かないとなあ。おーい、B君。悪いけど行ってきてくれんかな」 すると、B君がこんなふうに即答するのが耳に入った。「あっ、ダメ!オレ、今日はダメっす。これから