新書の体験価値とはなんだろう。 読むことでその知識を耕し、 ただ溜めていくのではなく、 一つの好奇心を新たな発見に変えていく自由な行為。 それは自分を新しくしていくことでもあるだろう。 新書の体験価値は、 様々なジャンルを体系立てて簡潔に読めること。 一冊の新書を扉にして、 様々な知識や価値観と出会うことができる。 それは自分とじっくり向き合う時間へとつながっていく。 もっと言うと、読んだものは薄れ忘れてしまうものだ。 それでもいい。 新たな好奇心がまた新たな関心あるテーマを出現させる。 そして新たに読むことで私たちは 日々アップデートしていく。 新書を読むことは、 あたらしくなること。
嫉妬論 民主社会に渦巻く情念を解剖する (光文社新書 1297) 作者:山本 圭光文社Amazon Kindle版もあります。 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~ (光文社新書) 作者:山本 圭光文社Amazon 嫉妬感情にまつわる物語には事欠かない。古典から現代劇まで、あるいは子どものおとぎ話から落語まで、この感情は人間のおろかさと不合理を演出し、物語に一筋縄ではいかない深みを与えることで、登場人物にとっても思わぬ方向へと彼らを誘う。それにしても、私たちはなぜこうも嫉妬に狂うのだろう。この情念は嫉妬の相手のみならず、嫉妬者自身をも破滅させるというのに――。(「プロローグ」より)政治思想の観点から考察。 僕自身、SNSをみていて、他人の幸運に対して素直に祝福できない気持ちになったり、誰かに「結婚して子どもがいるだけでも勝ち組」とか言及されて、「そんなに簡単なものじゃないんだよ……」と
ITエンジニアの仕事を続けていくと、メンタルが参ってしまうときがある。理不尽な要求や不合理なプレッシャーに耐えられなくなるときがある。「心が折れる」とはまさに本当のことで、いったん折れてしまったら、元に戻すのは極めて難しい。 そうならないよう、私が実践してきたとっておきの方法と、ITエンジニアの心をケアする4冊を紹介する。ワクチンの予防接種と同じで、元気なときに読んでおくと良いかも。 まず、私が続けてきたとっておきの方法から。 心配ごとや悩みごとは常にある。正常系より異常系、例外処理やエラーハンドリングを考えるのが仕事であるITエンジニアは、基本的に心配性といっていい。「もし~ならどうするか?」を考えるのは、ITエンジニアの性(さが)なのだ。 忘れようとすればするほど、気にしないようにすればするほど、何度も思い起こされ、心の中で何度も反芻する。目の前のことに集中できないまま、わだかまりと不
今年もなんとか年末までたどり着きましたね。毎年書いている今年面白かった本を紹介する記事です。 今年は本屋(蟹ブックス)で働き始めたということもあって、今までよりも幅広い本を手に取った一年だったように思います。あと、去年はなぜか短歌くらいしか読めなくなっていたけど、今年はエッセイとかをまた楽しく読めるようになってきました。うれしい。エッセイを書く気力もわりと戻ってきたので、2024年はまたエッセイ本を出したいなと思っています。まあ、できる範囲でやっていきたいですね。無理せず、死なないように。 マンガ 鶴崎いづみ『私のアルバイト放浪記』(観察と編集) 大山海『令和元年のえずくろしい』(リイド社) 大白小蟹『うみべのストーブ』(リイド社) 坂上暁仁『神田ごくら町職人ばなし』(リイド社) 岩波れんじ『コーポ・ア・コーポ』(ジーオーティー) 新井英樹『SPUNK - スパンク!』(KADOKAWA)
ひさしぶりに会った知人の変貌ぶりにショックを受けることがある。本書を書店で見かけた時の驚きもそれに近い。表紙の男性と著者名が一瞬つながらず、本人だと気づいて衝撃を受けた。別人のように痩せている。それも何か大病を患ったことをうかがわせるような痩せ方ではないか。 90年代からゼロ年代を通じた福田和也の活躍ぶりは、まさに「飛ぶ鳥を落とす勢い」という言葉がぴったりだった。「月300枚書く」と本人が言っていたように、文芸評論や時事評論、エッセイ、コラムを書きまくり、ワイドショーのレギュラーコメンテーターを務め、文芸誌『en-taxi』を編集し、母校である慶應大学の教壇にも立った。当時、夜の街でもしばしば著者を見かけた。バリバリ仕事をしつつ遊びもこなす姿が眩しかった。 著者を知ったのは学生時代のことだ。江藤淳に才能を見出されたというふれこみで、雑誌『諸君!』でいきなり連載が始まった。破格の扱いだった。
お金がなかった。 学ぶためにどうしても必要な本なのに、青年はそれを買うお金がなかった。 だから毎日、お目当ての古本屋に行っては、やってはいけない禁じ手を使った。 そして、ついに店主に声をかけられてしまう。 「おい、お前、名前は何ていうんだ!」 DX、効率化、費用対効果、年が明け新しい取り組みがどんどん進んでいく。 だけど、数字に表れない大切なものだってきっとある。 (ネットワーク報道部 松本裕樹) 去年10月、日本には円安の嵐が吹いていた。 海外のモノが高くなり、その影響を取材しようと神保町の古本屋街に行った。 「海外の洋書を扱う店なら影響があるだろう」 それくらいの気持ちでたまたま電話をしてつながったのが、崇文荘書店という洋書の専門店だった。
現代は変化の激しい時代である。 生き残るには今より高次の視点が必要だ。 これが最新の自己啓発トレンドだ。 メタ自己啓発本の年 自己啓発本は好きだろうか。俺は大好きである。読むだけで成功した気分を味わえ、簡単に気持ちよくなれる。あまりにも自己啓発本が好きすぎて、今年5月にこんな記事を書いたくらいだ。 これは「ビジネス書100冊の教えをまとめた本」と「自己啓発書100冊の教えをまとめた本」の教えを一つにまとめた記事である。ちょうど同時期に似たような宣伝文句の本が出ていたので、統一させたくなったのだ。 だが2022年に出版されたメタ自己啓発本は、この2冊だけではない。 先行すること3月、"反自己啓発の書" こと『地に足をつけて生きろ!』が発売される。4月に上記の2冊が発売。8月には近代日本における自己啓発150年史を書いた『「修養」の日本近代』が参戦。そして10月に『なぜ、自己啓発本を読んでも成
『読むだけでキャリア形成が加速する! GAFAグローバルリーダーの時間管理ノート』 『承認欲求は”他愛”で満たす。子宮を開く美の女神・イシュタル直伝”与えて10倍返ってくる生き方”』 『親ガチャ外して学校に馴染めず社会からも見放された俺ニキの”年収1000万突破”ニートスキル』 ーー以上は筆者がいま適当に考えた自己啓発書のタイトルであり、現実には存在しない。 もっとも、巷にはこの種の本が腐るほどあり、ブックオフなどに行けば100円コーナーに山積みになっていることから、人生や仕事に迷いを持った時、手にとってしまう方は少なくないかもしれない。 では、あなたが友人宅を訪れた時、本棚にこういった啓発書が並んでいたら、果たしてどう感じるだろうか? 必死だな、頑張ってるな、金の無駄だな等々、考えは人それぞれだろう。 だが、筆者の場合、親しくない方なら見ないふりをする。 そして、大事な人なら、「今すぐこ
ビジネス書100冊の教えをまとめた本がある。 自己啓発書100冊の教えをまとめた本がある。 そして "答え" がここにある。 100冊読んで分かったこと 2022年4月、日本のビジネス書を語るなら絶対に外せない本が登場した。『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』である。 ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律 作者:堀元見徳間書店Amazon その名の通り、日本で売れているビジネス書を100冊選び、それらを厳選した27の教えにまとめた本だ。この1冊があれば他にはいらない。 本書の組入書籍として採用されたのは刊行が2016年以降*1、推定発行10万部以上*2など、複数の条件*3を満たした本であり、その内訳は国内82%、外国18%となっている。 これだけ多くの厳選された書籍を使っているだけあって、教えの内容は多岐にわたる。コミュニケーションや情報処理
キティー Kitty @kitty_lifehack どんなにAmazonや楽天のような本を売るECサイトが発展しても、 ・ジュンク堂書店池袋本店 ・丸善丸の内本店 に容易にアクセスできたり、 洋書含めた蔵書数の多い図書館にアクセスできたりするのは、都会の重要な文化資本と言えるかもしれない 2022-03-19 18:53:37 菅俊一 / SUGE Syunichi @ssuge いつも学生に薦めてるのは、ジュンク堂本店レベルの大きな書店や図書館に行って、自分の関心と全く無関係と思っているジャンルの棚を眺めながら歩いて、面白そうな本を手に取ってみること。自分の外側にある興味の拡張ができるリアルな書店や図書館を存分に享受した方がいい。 2022-03-20 14:35:51
吉田豪×豊崎由美「書評とは何か?」 祝『書評の星座 紙プロ編 吉田豪のプロレス&格闘技本メッタ斬り1995-2004』のプロレス本大賞2021技能賞受賞! 昨年2月刊の『書評の星座 紙プロ編 吉田豪のプロレス&格闘技本メッタ斬り1995-2004』が、プロレス本はじめ充実した品揃えで知られる書店・書泉(グランデ/ブックマート)制定「2021年度(第2回)プロレス本大賞」の技能賞を受賞しました。 これを祝し、著者の吉田豪さん、ゲストに書評家の豊崎由美さんを迎える世紀のビッグ・マッチが実現。意外にも初顔合わせのお二人が「書評とは何か?」をテーマとして、雑誌黄金時代の思い出からフリーライターの生き方までを切り口に、縦横無尽に語り合いました。 ※2022年1月27日、東京・書泉グランデで行われたトークイベントの模様を記事化したものです。 書評家になるまでと、「TITLe」リニューアル事件吉田 お互
木登りヤギ@チャポニカ学習帳 @kinoboriyagi 水害にあった紙資料がカビにやられる前に素早く脱水するスクウェルチ・パッキング法、博物館関係者用の資料だけど、知っておいたら役に立つ場面がありそうな気がする。 元資料のダウンロードはこちら→omnh.repo.nii.ac.jp/?action=pages_… pic.twitter.com/bbYQGmyi13 2021-08-28 23:19:05
◆◆◆ 「状況は相変わらず厳しいです。ただ、まだまだ終わらせませんよ。『俺の旅』は、俺の人生。『俺の旅』=生駒明なんです。一昨年、休刊という死刑宣告を受けましたが、夫唱婦随。やつが死ぬなら俺も死ぬ。俺も一緒に海に入るつもりでした。そう。天に召されたのち、一緒に生まれ変わろう……あの時は、そんなことを考えていたと思います」 2019年4月10日、一冊のエロ本がその役目を終えた。 「俺の旅」(大洋図書) 2003年7月の創刊から15年9ヵ月。現場の体験ルポをこだわりとし、日本全国の風俗・裏風俗を慈しむように行脚してきた異端の風俗雑誌。その編集長を14年もの間務めてきたのが、“イコマ師匠”こと生駒明氏である。 生駒明氏 エロ本業界で、彼が“師匠”と呼び親しまれる所以は、おそらく日本一ともいえるその風俗取材に基づく情報量だろう。筆者は旧くからイコマを知っているが、彼ほど傷だらけになりながらも、風俗
過去のログを漁るとまるで言い訳の変遷がボージョレ・ヌーボーの評価のようであるが、本当に今年もろくに本を読まない一年であった。Twitterで報告したとおり、私事でも色々あり、世の中はコロナに見舞われた。在宅勤務が増える中で読書がはかどるかとも一瞬思ったのだが、そんなことはなく、人間は読書の習慣が鈍ると本を読まなくなるのだと反省の思いが強くあった。来年からは是正しなければならないとかなり深刻な反省を覚えるところがあったが、それはそれとして今年出た本で印象に残った本を取り上げることとする。 ■印象に残る研究あれこれ どのような脈絡をつけたものか考えたが、ランダムに取り上げることとした。まず一冊目として取り上げたいのは川名晋史『基地の消長 1968-1973 日本本土の米軍基地「撤退」政策』(勁草書房)である。本書は基地問題をめぐる政治学を研究対象としてきた政治学者が、1960年代後半に本格化し
日本財団 災害復興支援特別基金 日本財団では、被災した方々への緊急支援、家屋の復旧支援、災害NPOの活動支援など、いま必要とされる支援を迅速に進めてまいります。 シビックフォース 2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方で震度7の地震が発生しました。北陸地方を中心に各地で家屋の倒壊や停電、断水、火災、けがなどの被害が確認されています。Civic Forceは被災地での支援活動を行っています。ご支援をお願いします。 日本レスキュー協会 日本レスキュー協会は、阪神淡路大震災をきっかけに発足し、災害救助犬とセラピードッグの育成と派遣、また、殺処分ゼロを目指した動物愛護活動を行っています。災害救助犬は、現在広く認知されつつあるものの、災害現場ではまだまだ有効活用されていません。本当の意味での認知拡大にむけて、行政や自治体、救助機関との関係を築くことを心がけています。また、国際的にも認め
悪いのはカタギのほうだ 毎年夏、土用丑の日が近づき、コンビニやスーパーや牛丼チェーンがウナギを大々的に売り出すと、ニホンウナギは絶滅危惧種だというのにそんなことをしていていいのかと思う。そして最近は、土用丑の日が過ぎて消費期限切れになったウナギの大量廃棄が話題になることも多く、ますます疑念は強まっていた。 だが、私たちの罪深さはそんな疑念で済ませられるものではなかった。 『サカナとヤクザ――暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』(鈴木智彦 著 小学館) 暴力団取材のプロ中のプロが今回ターゲットにしたのは「密漁」。アワビ、ナマコ(中国では「黒いダイヤ」と言われる高級食材)、カニ、ウナギなど高級魚の密漁・密流通が暴力団の資金源になっている実態を追いかけ、北海道から築地、九州、台湾、香港まで、5年にわたって取材を続けた。 なんといっても、その取材の体当たりっぷりがすさまじい。三陸の密漁アワビ
太田忠司 @tadashi_ohta デビューして間もない頃、東野圭吾さんに「3年間いい小説をたくさん書きなさい。3年後から文庫化されるようになって経済的に安定するから」と言われた。実際そのとおりになった。でも今はその作家モデルは崩壊した。最初から文庫で出るものが多くなり、しかも部数は1/3近くまで減っている。 2017-09-17 18:11:25 太田忠司 @tadashi_ohta 一方で新人賞の数は格段に増え、デビューするひとも増えた。だけど前述のような理由で安定した職業ではなくなり、デビュー作だけで消えていくひともかなりいる。作家そのものが生鮮食料品のようになってしまった。 2017-09-17 18:15:40 太田忠司 @tadashi_ohta こんな時代に作家であり続けようとするためには、それなりの戦術と努力が必要となる。最近若手の作家さんに長く続ける秘訣を訊かれると、い
僕は村上春樹が好きだ。 町田康とか舞城王太郎とか池澤夏樹とか、他にもいろいろな作家が好きだけど、一番好きな作家を選べと言われたらやっぱり村上春樹だ。 今回発売された新作『騎士団長殺し』も、マスメディアで恒例として取り上げられて騒がれている。 マスメディアで騒がれると当然、全く興味のない人の目にも付く。 そこで、職場でも今日たまたま『騎士団長殺し』の話題になった。 (正確には「たまたま」ではなく、ある意味では必然的ともいえる。マスメディアかく恐ろしや) Aさん「そういえば新作出たねー。まあ全然興味ないけど」 Bさん「本屋で大量に平積みしてますねー。自分も春樹は1冊も読んだこと無いけど」 Cさん「同じく1冊も読んだこと無いっすね…」 そこに居合わせた僕は入社時に村上春樹が好きだと言っていた。 おそらく、この人達はそれを分かって言っているのだと思った。 この話題はスルーしようと思ったけど、 僕を
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