世界最大規模、最古の歴史を誇る、フランスの「アヌシー国際アニメーション映画祭」。このほど、湯浅政明監督の『夜明け告げるルーのうた』が、その長編部門最高賞となる「クリスタル賞」を受賞した。日本作品の長編部門最高賞は、1995年の高畑勲監督による『平成狸合戦ぽんぽこ』の受賞以来、22年ぶりの快挙である。また、片渕須直監督の『この世界の片隅に』が同部門の審査員賞を受賞しており、2017年は日本のアニメーション映画が海外で大きな注目を集める年になったといえるだろう。 この結果に対して、疑問を感じる人もいるかもしれない。まず、「アニメ大国」といわれる日本の長編作品が、何故この長い間、長編最高賞の受賞を逃していたのか。そして、国内で客足が伸びず、ほとんどの劇場が早々に上映を打ち切った『夜明け告げるルーのうた』が、何故ここまで高い評価を得たのかという点である。ここでは、その謎を解明しつつ、同時に日本のア