2008年に入るとボカロ曲はますます多種多様になっていきます。ボカロのカンブリア爆発期到来です。ボカロシーンに新たに参入したPが自分の得意分野で持ち味を発揮しはじめます。 中でも鮮度が高かったのはR&Bをベースにした曲です。ボカロとR&Bは最も遠く離れたジャンルだと思い込んでいただけに、意外な相性の良さに驚きました。 2008年3月7日 dixie flatline ボカロR&Bスタンダード。R&Bを構成する重要素は聴いていると思わず身体が動き出す「はねるリズム」です。ボカロはエレクトロやトランスに乗せることで空間ごと変移させるような表現が得意であり、特にミクは最強の能力の持ち主でしょう。しかし肉体を意識させるR&Bとは相性が悪い。ミクは声にキレがないので、「はねるリズム」に乗せるとフワフワしてしまって、ひたすら落ち着きません。逆にリン・レンのキレと粘性の高い声は見事にR&Bにはまりました
去年の秋、アルテスパブリッシングから出版された「文化系のためのヒップホップ入門」という本がやたらと面白かった。音楽ライターの長谷川町蔵さんと、慶応大准教授の大和田俊之さんによる対談形式の本で、平易な表現で読みやすく、ディスクガイドも充実。当然ながらよく売れていて、評判も高い。 しかし、入門する気がなくても面白い。というのも結果的にヒップホップの切り口から、それ以前の音楽を批評した内容になっているからだ。長谷川さんが冒頭に宣言するのは次のようなテーゼだ。 「ヒップホップはロックと同じ音楽だと思うから面白さがわからないのであって、ヒップホップは音楽ではない」「ヒップホップは一定のルールのもとで参加者たちが優劣を競い合うゲームであり、コンペティションです」 あれーっ、そうだったの? という感じだが、この本の企画は音楽史研究者であるにも関わらず「ヒップホップの壁を超えられなかった」大和田さんが、自
昨日のVOCALOIDの話のつづきの続き。 初音ミクが一番、やっかいというか、要するに僕らにとっては「初音ミク」っていうのをどう論じたらいいか解んないんですよ。キャラなんだけど、キャラクターものとして扱うにはあまりにも大きな現象を含みすぎていて。 by 黒瀬陽平さん@ねとすたシリアス第1回 (3)アマチュアミュージシャンの切羽詰まった状況 初音ミクブームにおいて特徴的だったのは、計画的にブームを先導・指揮するような中心的な人物、仕掛け人など存在しなかったということです。基本的には、各個人が思い思いに自由に行動していたのに、しかし全体としてみると、恐るべき連携プレイをしているかのように、初音ミクブームは拡大していったのです。 こういう現象が実現した理由として、ニコニコ動画の威力もさることながら、初音ミク発売以前の段階で既に、DTMを趣味とする人たちの間でいくつかの重要な共通認識があった、とい
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