ロシア人はなぜ「計画性」がないのか? ロシアトヨタ元社長が直面した旧社会主義国家の現実と、それを支えた奥田碩のリーダーシップ ロシアのウクライナ侵攻から1年がたった。 ロシアの全面侵攻と、それに対するウクライナの粘り強い反撃など予想外の出来事が続いたが、ビジネスの現場でもロシアと西側の対立がここまで先鋭化し、多くの企業がロシアから撤退せざるを得なくなったことは予想外だっただろう。サンクトペテルブルクに工場を構えたトヨタ自動車も、2022年の9月にロシア事業からの撤退を表明している。 今回紹介する西谷公明『ロシアトヨタ戦記』(中央公論新社)は、2004(平成16)年1月から2009年3月までロシアトヨタの社長を務めた人物の苦闘の記録だ。 「いまさら、なくなってしまった事業の立ち上げの記録を読む必要があるのか?」 と思う人もいるかもしれないが、以下のふたつの理由から、現在読んでも十分に面白いと