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ブックマーク / chiteki-yuurei.seesaa.net (85)

  • [著作権]Winny事件における控訴審・最高裁決定と、著作権侵害罪の構成要件・法定刑の妥当性: 「知」的ユウレイ屋敷

    Winnyの開発者が著作権侵害の幇助に問われ、最高裁まで争った結果、無罪となったことは記憶に新しい。第一審、控訴審、最高裁決定(注1)とその判断・立論が異なった。これについて整理・分析をされた、佐久間修教授による刑法上の観点からの論稿(注2)に触れ、著作権に関する刑事政策の観点から考えるところがあった。 ■Winny事件における共犯論と著作権侵害(佐久間(2012)の概要) 佐久間教授はまず3つの裁判所の判断について以下のように整理されている(なお、整理は筆者(=私)の言葉に拠る)。 ・第一審、控訴審、最高裁決定とも、ウィニーだけが違法な著作権侵害に利用されるものでないことをふまえ、幇助犯としての法益侵害の現実的危険性を認めるだけの行為状況を重視した。 ・第一審は現実の利用状況や主観的意図に着目して幇助犯の成立を肯定した。 ・控訴審は「特に違法な用途に使用することを勧めていること」を幇助犯

  • [著作権]出版社への著作隣接権の創設は、実体上は出版社への権利制限として働く可能性があるのではないかという暴論を言ってみる: 「知」的ユウレイ屋敷

    出版社への著作隣接権付与が政府で議論されている。 出版社への著作隣接権の付与に対しては、新たな権利を創設することで、爾後、当該出版物を利用したい場合に権利処理の負担が増し、著作物の利用を阻害するのではないか、と懸念する声がある。 また、報道によると、当該著作隣接権は電子的な複製を行う権利を含める予定とある。そのため、当該検討案が仮に立法されると、著作者が紙媒体で出版後、他の出版社から電子出版を行おうとすると、特別の契約がない限りは当該電子出版が止められうることとなる。 ただ、結局のところデフォルト・ルールの変更に留まると思われる。力のある作家は特約で著作隣接権のうち電子出版に係る権利は留保させることができるだろう(逆に力のない作家に対してはそのような留保は認めないという運用が採られる可能性がある)。契約次第でなんとでもなる[注1]。 むしろ、次のように場合分けして考えると、実体上は出版社へ

  • [特許]1980年~90年の日米貿易摩擦時の知的財産制度問題からの示唆: 「知」的ユウレイ屋敷

    ■TPPの狙い=模倣対策とそのための知的財産権制度のハーモナイゼーション? 渡辺惣樹『TPP 知財戦争の始まり』(草思社、2012年)は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)と知的財産制度の結びつきの可能性を推論したもので面白かった。 渡辺さんが米国政府発表等を広く分析したところ、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を推進する背景として、莫大な海賊版被害を抑え、農作物の輸出とは比べ物にならないほどの利益を既存の輸出品によってもたらすことが狙いとなっていると推論できるという。そのための手段として、TPPを使って、中国を抑え込み、知的財産権制度のハーモナイゼーションを進めることが意図されている、と渡辺さんは説明されている。 仮にこの推論が正しいとして、米国が求めたい知的財産権制度のハーモナイゼーションとは何なのだろうか。例えば特許法でようやく先願主義(ただし、先発明先願主義)を採用した米国は、

  • [著作権][時事]著作権侵害にあたる行為でアップロードされた著作物のダウンロードに対する刑事的保護は問題だ: 「知」的ユウレイ屋敷

    著作権侵害に該当する行為によってアップロードされた著作物をダウンロードする行為に対する刑事罰の付与は当面見送られる見通しであることが報道された。 私はこの見送りを2点の理由から歓迎している。 対抗利益(著作権者の保護、ただし、後述するように「特定のビジネスモデルを取る著作権者の保護」であると考えている)と衡量したときに、私的領域に深く介入しうる規制は、個人的には釣り合わないと受け止めていたからである。[理由1] また、著作権法が最終目的として謳う「文化の発展に寄与」するか疑問があるからである。要は、特定のビジネスモデルを取る著作権者にとっては有利な制度であるのだが、他のビジネスモデルをとる著作権者(それも直感的には文化的活動により近いもの)にとって不利な制度と考えられるため、妥当ではないと思えるのだ。[理由2] ■違法にアップロードされた著作物をダウンロードする行為に対する刑事罰の付与によ

  • [著作権]著作権法学会研究大会(2012年度)個人的なまとめ:(4)筆者考察: 「知」的ユウレイ屋敷

    ■考察 □日の著作権政策形成を考えたときに、改正をするために望まれる活動 著作権法の全面改正を行う、または、意見集約が難しい著作物の利用者や小規模なクリエーターにとって利便性のある改正を行うためにどういう手段があるのだろうか。今研究大会で得られた知見を基に、次の3つを簡単に考察する。 1)著作権の政治イシュー化 2)条約・現行法との整合的な代替案の提案、懸念点の払拭 3)立法事実の「見える化」 □1)著作権の政治イシュー化 京報告や討論で行われたように、現行の選挙制度の下では、著作権が政治的なイシューとなることは容易ではない。著作権法の全面改正が現行の政策形成過程の下で行われるためには、他の政治家とは異なる事情(選挙に強く、かつ、著作権問題に関心があり、かつ、政治的に有力である)を持つ政治家が登場することを待つしかない。ただ、すでに関心を持つ議員は与野党にいる。今、著作権に関心を持ってい

  • [著作権]著作権法学会研究大会(2012年度)個人的なまとめ:(3)討論まとめ: 「知」的ユウレイ屋敷

    ■討論まとめ 討論のまとめは、主な論点について、筆者がやりとりの要旨と考えられる点をまとめたものである。 □日の著作権政策形成過程の特徴 年(2012年)閣議決定された日版フェアユース規定の形成を例に議論が行われた。主には、法案として示されたフェアユース規定に強い不満が示された。 同改正法案については、最終的な条文が審議会が提示した条文案から後退したとの意見が強いことが紹介された。一般規定として提案されたものが事実上個別規定化した(とりわけB類型は制限事由が縮減され、C類型は個別規定化したように見える)との意見が示された。 審議会段階では、いま問題が起こっていなくても将来への対処が必要であるとの議論であったにもかかわらず、その後修正が行われてしまったこと、しかも過程や根拠が見えていないことが問題として指摘された。また、個別規定となるとそれ以外は禁止されているものと解釈されてしまうた

  • [著作権]著作権法学会研究大会(2012年度)個人的なまとめ:(2)報告まとめ-大須賀報告、野口報告、田村報告-: 「知」的ユウレイ屋敷

    ■報告まとめ(つづき) (4)大須賀滋「著作権法形成における判例と学説の協働」 大須賀報告では、カラオケ法理を題材として裁判での運用と学説の差異とその要因について分析結果が紹介された。 まず、従来カラオケ法理に対しては学説上批判が見られたことが紹介された。 近年、まねきテレビ事件(最高裁平成23年1月18日判決 民集65巻1号121頁)、ロクラクII事件(最高裁平成23年1月20日判決 民集65巻1号399頁)が示されたが、これら2つの最高裁判例についても学説との距離が縮まったとは言えないとの考えが示された。 その上で、学説との差異の要因は私的複製行為に対する権利制限規定の評価の違いにあるのではないかとの私見が示された。具体的には、私的複製に対する権利制限は零細的な利用を認めたものであり、複製行為に外部の者が介在することは許されない(加戸・逐条講義 226-228頁)と解釈する立場が有力に

  • [著作権]著作権法学会研究大会(2012年度)個人的なまとめ:(1)報告まとめ-石新報告、上野報告、京報告-: 「知」的ユウレイ屋敷

    ■報告まとめ 概要は筆者の責任でまとめているうえ、ご報告者の方に断りなく公表しているものである。報告の全文は翌年の『著作権研究』で明らかにされると予想される。ここでの記述は全て筆者のバイアスがかかっているものとご理解いただき、あらゆる批判は筆者にだけ頂きたい。 (1)石新智規「米国における著作権リフォーム—Copyright Principles Projectを中心に—」 石新報告では、Pamela Samuelson教授(カリフォルニア州立大学バークレー校)が中心となって、2007年から3年間行われた、著作権の全面改正に関する議論を行うプロジェクト「Copyright Principles Project」の成果[注1]が紹介され、次いで、米国の著作権法全面改正を巡る議論の特徴と、そこからの示唆が報告された。 まず、「Copyright Principles Project」について

  • [著作権][時事]まねきTV事件最高裁判決のロジックを読み解く...試み: 「知」的ユウレイ屋敷

    テレビ放送の転送サービスや楽曲のオンラインストレージサービスについては、複数の下級審例があった。例えば、選録見撮事件やMYUTA事件、そしてロクラク事件、まねきTV事件である。 とくに最後のまねきTV事件は、テレビ放送された番組を録画し特定の者に送信する機器を預かり管理するビジネスに対して、知的財産高等裁判所はその形態を詳細に検討した上で著作権侵害を否定したことから、さまざまな注目を浴びてきた。まねきTVのポイントは、1つの機器から1人のユーザーにしか送信を行わないところにあった。私的複製として反論できるように工夫されていた。 しかし、昨日(2010年1月18日)に下された同事件上告審の判決では、最高裁判所は原審の判断に不足があると認定し、審理を差し戻したようである。ここでは簡単にそのロジックを読み解いてみたい(そして、どうも私には自信が無いという微妙な雰囲気を感じ取っていただき、諸兄・姉

  • [知財一般][著作権]法の正当化過程:著作権保護期間延長を求めるのであれば審議会委員の選考の中立性を権利者側が求めてみたほうが戦略的に良いのでは?: 「知」的ユウレイ屋敷

    -知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 法律の正当化にあたって政策プロセスに着目するアプローチも悪くない、とくに、法の経済学分析との関係では良さがある、と述べる論稿(得津(2009))(注1)に、知的財産権に関する言及があった。考えさせられる点があるので、拙いながらも考察を加えたい。 なお、同論稿は日における法の経済学分析の中で大きな力を与えている藤田友敬教授、森田果准教授の採る考えの根底にあると思われる点への疑問点を述べたものである。具体的には両教授とも国家の介入の正当性については実証を伴うべきであるとの考え(以下では便宜的に「実証主義的な法の経済学的分析アプローチ」と呼んでみる)であるように見える(注2)が、常に実証可能なものだけではな

  • [知財一般]オープンイノベーションで取り込むべき相手としてのリードユーザー: 「知」的ユウレイ屋敷

    -知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 オープンイノベーションの言葉はやや使い古されてきた感があるが、単にbuzzwordで終わらせるのでなく、垂直統合型の製品/サービス開発に固執してしまいがちな組織には、よい頭の刺激を与える言葉であると思う。 さて、オープンの相手は誰か?ということについて、シーズを持つ者だけではないということを示唆する資料があったのでまとめておく。 LIlien、von Hippel教授らが、3M社の協力の下、同社のアイデア創造プロジェクトから生まれた製品コンセプトについて事例調査を実施した結果では、リードユーザーのアイデアによる製品コンセプトの方がより新規性があり、高い売り上げに結びつくと予想されており、追加的な製品改良

  • [特許]発明者に「技術で勝ってビジネスで負けないようにさせるインセンティブ」を与えるためには: 「知」的ユウレイ屋敷

    -知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 ここ1ヶ月、なかなか知識の充電が進んでいなかった。反省…。 日の職務発明制度(特許を受ける権利をあらかじめ定めた規定等によって使用者に承継させる代わりに、「相当な」対価を求めること)は経営側にも知的財産部門にも評判が良くないように感じられる。 経営者からすると、「ビジネス上のリスクをとって利益を上げたのに…」という思いが、 知的財産部門からすると、「特許を権利化するにあたって自分たちの貢献は小さくないのに…」という思いが、それぞれあるのは自然なことだと思う。 後者については、いわゆる特許の法的な質を上げることが特許権による収益にどの程度貢献したかが定量的に明らかでないことが要因であるし、それが明らかに

  • [著作権]1%が全体を止める(『破天荒力』著作権侵害事件 地裁判決): 「知」的ユウレイ屋敷

    -知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 松沢成史さんの著書『破天荒力』に、山口由美さんの著書『箱根富士屋ホテル物語』で用いた表現が複数箇所用いられている、として『破天荒力』の販売差止と損害賠償を求めた訴訟の第1審判決が下され、1カ所(240頁中2行)の著作権侵害が肯定され、販売差止が命じられたとの報道がなされた。 ■侵害認定について興味を引く点:微妙な侵害認定 判決文が入手できていないが報道を読む限り、問題となった表現は以下の箇所のようである。(あくまで、報道の限りであるので不正確である可能性がある)「彼は、富士屋ホテルと結婚したようなものだったのかもしれない」との部分が、山口さん記述の「正造が結婚したのは、最初から孝子というより富士屋ホテル

  • [時事]日本新聞協会の著作権の包括的フェアユース規定への反対意見に思う: 「知」的ユウレイ屋敷

    -知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 ■文芸協、日新聞協会のフェアユース規定への反対声明の読み方 (社)日新聞協会を含む6団体から権利制限の一般規定に反対する声明「「権利制限の一般規定」導入に関する意見書」が出されたことは、報道や知財系ブログで多々触れられているところである。 これを読むと、この声明は大きく2つで構成されていることを読み取ることができる。(一連の流れのようにも読めるが、論理的に考えると2部構成とみた方がよいように思う。) 前段は、包括的なフェアユース規定への反対の意思表明である。 後段は、具体的な「フェア」の基準について議論が尽くされていないことの例として、知的財産戦略部デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会『

  • [時事][著作権]権利制限を幅広く認める包括的フェアユース規定導入を諦めた(であろう)ことの意味: 「知」的ユウレイ屋敷

    -知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 ■日版フェアユースの行方を報道から探る 非公開であった文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 権利制限の一般規定ワーキングチームの報告内容が報道された。詳細は末廣さんのブログ『Copy & Copyright Diary』に詳しい(注1)が、報道を見る限り、かなり個々の行為の価値判断について言及されているようである。 「ITベンチャー企業によるテレビ番組の転送サービスなどは適用対象から外れる見通し」(NIKKEI NET 2010年1月19日記事「著作権侵害、対象外に 写真の端に写った絵画など、文化庁方針」)「テレビ番組のロケで偶然に他人の絵画を撮ってしまう「写り込み」など、付随的な著作物の利用行為は

  • [特許]大学からの特許出願の現状・今後(その1): 「知」的ユウレイ屋敷

    -知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 特許庁「大学知財研究推進事業研究成果報告会」(2009年5月21日開催)を聴いてきた。時間の都合で2つしか聞くことができなかったが、その参考になった点と考えた点をまとめた。 ■木下孝彦(財団法人比較法研究センター)「大学の国際連携に係る海外特許出願戦略に関する研究」 □報告概要 (1)日米の違い ・米国と比較すると、日の大学は海外出願率が低い。ただし、米国の主要大学のインタビュー調査結果によると、米国の主要大学・研究機関であっても自国の市場性をなお、自国以外の出願先として欧州がいずれもおおむね多いことは共通している。 ・米国の主要大学と比較すると、日の主要大学は企業との共同出願率が高い(米国は10%

  • [時事]変な特許は権利化するな、から、活用も支援します、へ: 「知」的ユウレイ屋敷

    -知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 昨日朝の朝日新聞で特許庁の施策検討の方向性が紹介されていた。 朝日新聞「「休眠特許」発掘に腰 特許庁、特典も検討」2009年5月24日記事 (略)埋もれている特許の活用が課題になっている。07年には約39万件の特許申請があった。特許は20年で切れる。埋もれた特許をどう利用していくかを含め、特許庁は、11年の通常国会で50年ぶりとなる特許法の抜的な改正案を提出する考えだ。 大学や企業の発明と違い、個人が出願した特許はなかなか人目に触れにくい。 (中略) 特許庁は、特許の利用を促す仕組みとして、特許を新商品や新サービスに積極的に活用してほしい発明者らに、権利の維持に必要な費用を減額する特典を与えられない

  • [時事]櫻井よしこさんの特許制度についての誤解: 「知」的ユウレイ屋敷

    -知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 このブログでは優れた研究や、優れた意見を整理して、それに対して思ったことを残しておくことが主な目的になっている。 人の間違いを公に指摘することは、余り意味のあることではないことだと思っている(ご人に直接言えばよい話だからだ)。間違いを批判することは、良いものを理解しそれに基づいて考えることに比べると、格段に容易なことなので、好みではない。 だけれども、影響力のある方が行った知的財産政策に関する情報発信に誤りがあった場合については、拙いなりにも知的財産政策を見続けている人間として、その情報を目にされた方が万が一同じような誤解をされないようにして頂きたいという思いから、誤りを指摘することとしたい。 ■櫻井

  • [時事]特許制度研究会レビュー:特許権のライセンス契約保護: 「知」的ユウレイ屋敷

    -知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 特許庁が設けた、特許制度の根を検討する研究会の第3回では、特許の活用促進について議論が行われたようだ(注1)。主には、ライセンシー保護が議論の対象であり、・通常実施権の当然保護(または登録によらない保護) ・独占的通常実施権に関する制度の創設が主な議題となっていることがうかがわれる。 この議題のうち前者に関しては、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会で議論され、『特許権等の活用を促進するための通常実施権等の登録制度の見直しについて』という報告書(注2)が出されている。その内容のレビューといったところなのだろうか。 このように議論がなかなか結論を見ないのは、知的財産権の譲受人が譲渡人の契約関係

  • [時事]著作権法とネマワシ: 「知」的ユウレイ屋敷

    -知的財産制度を考えるブログ- 知的財産法とその制度設計について学び続けたい若造の勉強日記です。 サイトの説明や筆者の連絡先、利用のルールについてはこちらを参照ください。コメント歓迎です。 著作権法がビジネスにおいても重要度を増すと平行して、創作者間、創作者ー頒布者間、頒布者間それぞれで利害対立が先鋭化している(注1)。同時に、創作活動に資する道具が増加し、多数のクリエーターが登場し、「一億層クリエーター」化が進んでいる。さらに、情報のデジタル化が進み、侵害行為とその発見双方が容易になっている。 このような変化がある中で、制度を設けたり、変更する場合に関係者の利害調整は大変だと思う。現実に利害調整を行っているのは、我が国では間違いなく霞ヶ関だが、いわゆる脱藩官僚による霞ヶ関回想を読んでいると、業界の利害調整に慣れていない省庁もあるようだ。 おそらく文化庁もそのような省庁の一つであると思う