個人情報保護法改正に向けて、識別性概念を改正して拡張せよという意見も強い。 しかし、次の段階として行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法などの改正が控えているだけでなく、さらに、識別性概念は他の多数の法令でも用いられている。したがって、それを拡張してしまうと、他の法令に及ぼす影響が大きいので、その影響を調査、検討しておく必要がある。 例えば情報公開法 5条は、憲法21条に基づく国民の「知る権利」を守るための最重要の法律であるが、次のとおり、個人情報を不開示事由としており、個人情報を定義するにあたって識別性の有無を要件としている。 すなわち、同法上の個人情報とは「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別すること