全国の公立図書館の職員は約76%が非正規で、自治体によっては低賃金で不安定な雇用条件だ。日本図書館協会(東京都中央区)は、専門性が求められるサービスを維持できるよう、賃金や労働条件の改善をお願いする文書を全国の都道府県と市、東京特別区の首長に送付した。「フェイクニュースが出回る現代こそ、正しい情報を提供する図書館の役割は重要」と訴える。(榎本哲也)
川崎市議会が2018年に可決した「家庭教育支援法の制定を求める意見書」に関し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体関係者が自民市議に意見書案の提出を働きかけていたことが分かった。神奈川県内では同じ時期、計23の市町村議会に同様の意見書を求める陳情が出され、同じ団体関係者が一部に関与していたことが判明。教団の価値観と親和性がある政策を、地方政治を通じて後押ししている実態が浮かんだ。(太田理英子、奥村圭吾) 「家庭教育支援法」は安倍晋三政権下で自民党が法制化を目指し、2017年に与党で法案を了承したが、公権力の家庭教育への介入を招くなどと野党が反発し、棚上げとなっている。 川崎市議会で可決された意見書は児童虐待の増加などを根拠に「行政のより積極的な家庭教育への支援が必要」として、法制定を求める内容だ。自民、公明両会派が18年3月に連名で提案し、賛成多数で可決。国会に送られた。 提案の経
麻生太郎財務相は14日の閣議後会見で、新型コロナウイルスの緊急事態宣言下での行動制限の緩和案について「やれるところがやってった方がいい」と述べた。景気回復につなげるために、「国民のマインドを変える」と強調した。 政府は、ワクチン接種の進展を前提とした行動制限の緩和案について検討を本格化している。宣言下でも都道府県をまたぐ旅行や大規模イベント開催も認めるといった内容が想定されている。 緩和案について問われた麻生氏は「医者は結構反対といってたろ。医者とか、医者みたいな人がいっている話ね」と懸念の声があるとした上で、「ぼくはいろんな形で行動制限の緩和もやれるところがやってった方がいいと思いますね」と答えた。
女性蔑視発言で東京五輪・パラリンピック組織委員会会長を2月に辞任した森喜朗元首相が、組織委の「名誉最高顧問」に就く案が浮上していることについて、組織委の高谷正哲スポークスパーソンは24日の会見で、「大会開催に貢献された方々の役職等については必要に応じて対応することにしているが、個別の人事について答えることは差し控えたい」と述べた。 会見で「一部報道で森喜朗さんについて名誉顧問もしくは、何らかのアドバイザーで就任との報道が出ているが、どういう考えがあるのか」と質問されたのに答えた。 森氏は21日に福島で無観客で行われたソフトボール日本―オーストラリア戦を観戦。翌22日の会見では記者から「どのような理由で、どのような役職でカードが発行されて観覧できるのか」との質問が出た。この際、組織委の橋本聖子会長は「前会長の時に福島あづま球場でのソフトボールを決定したということがあり、知事、地元市長にお世話
神奈川県鎌倉市が2018年の憲法記念日に開いた講演会で、公募で選ばれた市民でつくる実行委員会が提案した憲法学者の木村草太東京都立大教授(当時は首都大学東京教授)の講師起用を、「政治的だ」という理由で市側が拒否していたことが、分かった。識者は「市民の活発な議論を下支えすることは行政の中立性を損なわない。鎌倉市の判断は民主主義に逆行している」と指摘している。(石原真樹) この講演会は「憲法記念日のつどい」。17年までは市と実行委の主催だったが、18年から主催は市で、実行委が企画・運営。市側が作成した議事録によると、実行委は17年12月に講師の選定を始め、木村教授を含む3人を候補に挙げた。ところが翌年1月の会議で市の担当者が「政治的要素が見られる」と難色を示した。委員は「全く政治性のないことはありえない」と反論し、あらためて木村教授を1番目の候補者として5人を提案した。
新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言下で行政からの休業要請に応じているにもかかわらず、一部の飲食店に匿名の張り紙などで休業を求める行為が相次いでいる。こうした行為はインターネット上で「自粛警察」と呼ばれ、店主らは「行き過ぎた嫌がらせだ」と反発。識者は「日本特有の同調圧力が悪い方に出た」と指摘する。 「安全のために、緊急事態宣言が終わるまでにライブハウスを自粛してください。次発見すれば、警察を呼びます。近所の人」。四月二十六日、東京・高円寺のダイニングバー「いちよん」の看板に張り紙が見つかった。 店主の村田裕昭さん(41)によると、同店は飲食店。都は午後八時までの営業を求めているが、緊急事態宣言を受け四月十日から自主休業した。店内のスペースではこれまで、不定期でライブを開催しており、二十六日は女性歌手のライブを無観客でネット配信した。 ライブハウスは休業要請対象だが、都は同時に複数の
悪質なマルチ商法だとして二〇一七年に消費者庁から業務停止命令を受けた暗号資産(仮想通貨)販売会社「48(よつば)ホールディングス」(札幌市中央区)の役員が、「桜を見る会」に出席した際の写真が、組織的に会員勧誘に使われていたことが、関係者の話で分かった。前日に安倍晋三首相の後援会が東京都内で開いた「前夜祭」で、安倍首相夫妻と写った写真も会員間に出回っており、会員は「写真を見せると『すごいね』となり、信用してくれた」と話している。(石井紀代美) 48社は、一五年十二月、新しい仮想通貨だとする「クローバーコイン」の販売を開始。購入した会員が新規会員を勧誘すると報酬が出るマルチ商法だった。「購入すれば一カ月半後には十倍に値上がりする」などとして会員数を伸ばし、一七年七月時点で会員は約三万五千人だった。 本紙の取材に応じた東海地方の女性会員によると、一六年に上位会員が開いたセミナーで、48社役員(当
藤沢市の南市民図書館が藤沢駅南口の商業施設「ODAKYU湘南GATE」の6階に移転した。駅前という立地の良さに加え、懸案だった館内の段差が消えてバリアフリーになるなど利便性が向上。別の場所にあった市民ギャラリーも移して併設した。多くの利用者が訪れ、移転効果が顕著に表れている。 (吉岡潤) 同館によると、一日の移転以降、連日四千人前後が来館。市民会館などと並んで鵠沼東にあった旧施設の三倍以上になっている。「移転間もない目新しさもあると思うが、駅に近く便利との声はいただく」という。 階段が多かった旧施設から、ワンフロアで書架間の通路幅も広く、車椅子やベビーカーに優しい造りになった。低い書架が多くなって本が探しやすく、子どもが靴を脱いで本を広げられるスペースも拡大した。平日は午後五時か七時までだった開館時間を午後八時へ変更。勤め帰りの駅利用者らも立ち寄りやすくなった。入り口近くには、市内で暮らし
令和への改元を控え、「平成経済」を知るための重要な指標の一つである「賃金伸び率」の検証が、今年一月に発覚した政府の統計不正のためにできなくなっている。政府が毎月勤労統計の集計で不正を行っていた期間の資料を廃棄したことで、八年分の賃金が分からなくなったからだ。公表された資料には空欄が並ぶという、異様な状況となっている。 (渥美龍太) ルールでは全数調査をしないといけない東京都分の大規模事業所を、厚生労働省が二〇〇四年に勝手に抽出調査に切り替える不正を始めたため、以降の調査結果が実態より低く出るずれが生じていた。これにより、延べ二千万人超が雇用保険などを過少に給付されていたことが分かった。 問題発覚後、厚労省は一二年以降の結果を再集計して本来の数値を再現したが「〇四~一一年分は調査票などの資料を廃棄・紛失していて再集計ができない」(厚労省の賃金統計担当者)ため、公表資料を空欄とした。この空欄部
米国を除く十一カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)締結に必要な関連法案が二十四日午後の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。政府・与党は今国会での成立を急ぐが、野党は議論が不十分と反発しており、参院での審議が焦点になる。 法案は、畜産物価格安定法や著作権法などの関連十法を一括して改正する。輸入品増加で影響を受ける畜産農家の赤字を補う制度の拡充や、著作権保護期間の延長などをTPP発効に合わせて実施できるようにする。
学校法人「森友学園」問題を巡り、三月二十七日に行われた佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官の証人喚問で目立ったのが、疑惑を全面否定する断定口調だ。財務省理財局長として臨んだ昨年の国会審議では、安倍晋三首相が自身の進退に言及して関与を否定したのを境に、事実関係の説明に徹する姿勢から、「一切ない」などと言い切る表現を多用して一変したと野党は分析している。 佐川氏は証人喚問で、決裁文書改ざんの経緯に関して証言を拒否する一方、首相や首相官邸などの関与については「ございません」を連発。野党からは「なぜ断言できるのか」と疑問の声が相次いだ。 昨年二月に森友問題が報じられた当初、佐川氏は国会で淡々と事実関係を答弁した。同月十五日の衆院財務金融委員会で、国有地の大幅値引きの根拠を問われると「(ごみの)撤去費用を見積もり、不動産鑑定価格から差し引いた時価で売却した」、撤去費用は「工事積算基準に基づき適正に算定」
国立公文書館が公文書管理の専門職「アーキビスト」養成に向け、職能要件を定めた職務基準書を策定したことが十一日、判明した。職務遂行上の基本姿勢として、常に公平・中立を守るとともに、圧力に屈しない高い倫理観と誇りを持つように求めた。森友、加計(かけ)学園問題で批判を浴びた国の公文書管理の態勢を整備する狙いもある。政府関係者が明らかにした。 日本は欧米諸国と比べて公文書館の規模や職員数で大きく劣っている上、アーキビストに公的資格を付与する制度もない。国立公文書館は一年程度の周知期間を設け、来年一月にも正式決定する。職員の研修カリキュラムなどに反映させていく方針だ。政府は二〇二〇年度以降に公的資格制度の運用を開始するとした工程表も策定しており、人材育成の強化を進めている。 基準書によると、アーキビストについて「国民共有の知的資源である公文書などの適正な管理を支え、永続的な保存と利用を確かなものとす
ぬいぐるみのクマと動物たちの触れ合いを描いた英国の児童文学「クマのプーさん」の著作権保護が五月末で切れ、六月二十五日に角川書店から新訳本が発行される。環太平洋連携協定(TPP)に盛り込まれた保護期間の延長で著作権切れが二十年先に延びることになっていたが、米国の離脱でTPPが発効できず、プーさんの自由化が実現することになった。 TPPにおける著作権の保護延長は、ミッキーマウスなどの人気キャラクターを抱える米国の主張で決まった。これを受けて日本は昨年末に国内法を改正。TPP発効と同時に、TPP参加国以外の国も含めた国内外の作品の保護期間を作者の没後五十年から七十年に延長することにした。 しかしTPPは発効されず、プーさんの著作権は切れた。今後は二〇〇五年に著作権保護が切れたサンテグジュペリの「星の王子さま」を競って出版したように、プーさんの「新訳ラッシュ」がみられる可能性が出てきた。一方、ディ
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