ポアンカレは数学史上に名を残す有名数学者です。ポアンカレの遺した「ポアンカレ予想」は、数学において非常に重要なものです。ミレニアム問題として知られたこの問題が解決された! というニュースを見たことがある方も多いのではないでしょうか。 でも、この「ポアンカレ予想」が未解決だといったら驚くでしょうか。 この興味深い話を『多様体とは何か』の著者・小笠英志さんが解説します。 1. ポアンカレ予想の文言 まず、数学で「〇〇予想」というのは、数学者が研究をしていて、今までの本人やまわりの人達の研究結果から鑑みて「もしかしたら、こういうことが成り立つのではないか? 皆さんどう思いますか?」と、論文の中や講演などで世に問うたものです。 数学で「予想」というのは「〇〇となるであろう」という形の文言をしています。別の言い方をすれば「〇〇となるであろうか」という問題です。 ポアンカレ予想というのは以下に述べる、