ロングラン大ヒットとなったアニメーション映画『この世界の片隅に』が、いよいよBlu‐ray&DVDとなって登場する。クラウドファンディングで資金を集めるなど、「この映画を作りたい」「この映画を観たい」というたくさんの願いに包まれて完成した本作。アニメ映画初主演を果たした女優・のんにとっても宝物のような作品になったようで、改めて本作への思いを聞くと、「これからも役者をやっていく上で、とても特別な作品に出会えたと思っています」と嬉しそうに語ってくれた。 【関連】豪華特典の内容を紹介!『この世界の片隅に』Blu‐ray&DVD発売記念特集 掲載中 『夕凪の街 桜の国』などの作品で知られるこうの史代の同名漫画を、片渕須直監督がアニメ化した本作。戦時中の広島県呉市を舞台に、主人公の女性・すずが、戦火の激しくなる中でも健気に日々の生活を紡いでいく姿を鮮やかに描く。のんは「この作品のオーディションのお話
コトリンゴで良かった 「この世界の片隅に」の音楽がコトリンゴで本当に良かったと思う。というのも、こうの史代作品の中での「音の風景」をアニメーションで実現するには「空気感を作る成分として無駄なくひっそりと機能する音楽」がなにより大事で、その「空気感」を作るアーティストとしてコトリンゴこそベストだと勝手に思っていたからだ。既に映画を見たならば、これだけの説明でわかる人も多いと思う。 さて、そんなコトリンゴによる「この世界の片隅に」の音楽について、無謀にも譜例なども参照しながら、音楽素人なりに語ってゆきたい。もうそうせずにはいられないのだ。専門の方からすると楽典上の間違いや根本的な勘違いもあるとは思うので、あまりに目に余るよう出れば、ご指摘いただければ幸いである。なお、譜例はあくまでメモ程度のもので、調や拍子が正確である保証はない事は予めお断りしておく。原則サントラに沿って書いてゆく。太字はサン
広島や呉を舞台に戦時中の日常を丁寧に描いたアニメーション映画「この世界の片隅に」が今月に入って各地の映画館で再上映され、終戦の日の15日は片渕須直監督が埼玉県内の映画館を訪れて戦争に対する思いを語りました。 映画は去年11月に上映が始まりましたが、配給元の東京テアトルによりますと、戦争について知るきっかけにしようと、すでに上映を終えた映画館でも再上映の動きが見られ、今月は全国のおよそ50の映画館で上映が行われたり決まったりしているということです。 今月12日から再上映を始めた埼玉県川越市の映画館では終戦の日に合わせて片渕須直監督が上映後に舞台あいさつをしました。 片渕監督は「広島では特に8月に入ってから大きな空襲が続き、亡くなった人がたくさんいた。そのように追い詰められ、締めつけられるような日々が8月15日で終わった」と話したうえで「15日という日はただの終戦の日ではなく、そういう日々の末
2016年秋から日本の映画界に巻き起こった長編アニメ「この世界の片隅に」のムーブメントが、さらに世界に飛び火する気配だ。6月12日にフランスで開幕したアヌシー国際アニメーション映画祭のトップバッターとして、「この世界の片隅に」が上映され大きな反響を巻き起こした。 アヌシー国際アニメーション映画祭は1960年にカンヌ映画祭からスピンオフするかたちでスタート。世界で最も古く、そして最大規模のアニメーション映画祭として知られる。イベントの目玉となる長編コンペティションの10作品には、日本から「この世界の片隅に」、「聲の形」、「夜明け告げるルーのうた」も出品されている。 12日朝10時半、映画祭のトップを切って登場したのが「この世界の片隅に」である。約1000名収容のメイン会場BONLIEU GRANDE SALLEは、映画関係者やファンで満員に。熱気溢れる観客の前に日本から訪れた片渕須直監督が壇
原作とアニメーションの相違の中でも、もっとも気になる箇所の一つが「水鳥の青葉」の中でのすずの台詞だ。原作ですずがリヤカーを押しながら刈谷さんに語りかけることばは次のようなものだ。 生きとろうが死んどろうが もう会えん人が居ってものがあって うちしか持っとらんそれの記憶がある うちはその記憶の器としてこの世界に在り続けるしかないんですよね (下線は筆者) 原作では、この「記憶の器」ということばが大きな鍵となっている。それが何を意味するかを考えるために、花見の頃、リンが桜の樹の上ですずに言った次のことばを思い出してみよう。 ねえすずさん 人が死んだら記憶も消えて無うなる 秘密は無かったことになる それはそれでゼイタクなことかもしれんよ 自分専用のお茶碗と同じくらいにね (下線は筆者) リンのことばは、記憶=秘密の器としての人の生のことを語ろうとしている。リンにとって、「記憶」と「秘密」とが結び
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh 『#この世界の片隅に』エンドロール「資料・情報協力」の末尾に「大塚康生」とあります。大塚さんに伺ったところ「山口の進駐NZ軍の資料を貸した」とおっしゃっていました。「観に行きましょうよ」と誘ったのですが「混んでるようだし、まだいいよ」と照れくさそうに断られてしまいました。残念。 2016-12-06 03:09:04 叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh 大塚康生さん、『風立ちぬ』の時も機関車作画に資料協力されたものの試写は欠席。 かなりしつこく誘って、こちらでチケットを手配して、ようやく観て下さいました。劇場が混んでいると、万一顔を知っている方などに会うと面倒…とか色々あるのかも知れませんね。今回も粘らねば(苦笑)。 2016-12-06 03:16:51
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi 『この世界の片隅に』が情報量情報量と騒がれているのを、曼荼羅めいた構造に気付かなかった俺は馬鹿、との心地好い劣等感交じりに眺めてきた。「細部にいちいち資料の裏付けがある」という意味らしいと分かってきて、落胆した。そういう観方をしてしまったら想像力で埋められた部分は悉く瑕疵となる。 2016-12-08 07:19:56 津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi この人は何を云っているのだ? 焦土に身内と似た背恰好を見掛け、あの黒焦げは別人だった、こっちに生きていた、と希望をいだくのが「失認」? 諦めなかった人たちだけが再会を果たし、それでも残り時間は僅かな事が多かった地獄で。何にでも手持ちのレッテルを貼り付ければいいってもんじゃない。 twitter.com/pentaxxx/statu… 2016-12-08 14:01:58
情熱クロスロード~プロフェッショナルの決断 音楽、スポーツ、文学、科学――。これらの世界には、高い才能を持つマエストロたちがいる。ジャンルを問わず彼らに共通するのは、他人にはマネのできない深い「情熱」である。常に新しい時代を創り出し、世の中をリードし続ける彼らは、日々何を見つめ、どんなことを考えているのか。知られざる「異才の素顔」にスポットを当てる。 バックナンバー一覧 前例に基づく効率主義を廃し 大人の支持を集める方法 ──今、お話が出たように、映画の制作費などの資金調達にクラウドファンディングを使いました。2015年3月18日から5月29日の82日間で3374人の支援者と3622万4000円を調達し、国内でクラウドファンディングの最大の成功例と言われています。この手法は当初から考えていたのですか? 前作の『マイマイ新子と千年の魔法』がそもそもそういうスタイルになっていたんですよ。 とい
情熱クロスロード~プロフェッショナルの決断 音楽、スポーツ、文学、科学――。これらの世界には、高い才能を持つマエストロたちがいる。ジャンルを問わず彼らに共通するのは、他人にはマネのできない深い「情熱」である。常に新しい時代を創り出し、世の中をリードし続ける彼らは、日々何を見つめ、どんなことを考えているのか。知られざる「異才の素顔」にスポットを当てる。 バックナンバー一覧 2016年11月12日に全国公開されたアニメ映画『この世界の片隅に』が、口コミから動員数が増え続けるという異例のヒットを記録している。戦中戦後の広島を舞台に、広島市から呉市に嫁いだ主人公・北條すずと、夫・周作など普通の人々の暮らしを描いた作品だ。クラウドファンディングで製作費や海外進出のための資金調達を行なったことでも話題となった。監督の片渕須直氏に、製作の経緯や作品に懸けた思いを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン
映★画太郎の MOVIE CRADLE 映画について綴ったり屁理屈コネたりします。 【ネタバレ】しますのでご注意ください。粘着コメントお断わりです。 監督:片渕須直、声の出演:のん(能年玲奈)、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ ほかのアニメーション映画『この世界の片隅に』。 音楽はコトリンゴ。 原作は、こうの史代による同名漫画。 太平洋戦争下の広島。江波(えば)に住む浦野すずは1944(昭和19)年、軍港のある呉市の北條周作のもとへ嫁ぐことになる。おっとりした性格のすずは時々ドジを踏みながらもかいがいしく働き、好きな絵を描き、新しい環境に馴染んでいく。しかし戦況の悪化に伴い物資は乏しくなり、アメリカ軍の攻撃も激しさを増していく。 今年は日本のアニメ映画が何本か大ヒットして話題になりましたが、僕は日頃から日本製のアニメに対して良いイメージを持っていなくて、それらを1本も観てい
現在公開中のアニメーション映画『この世界の片隅に』が大ヒットを記録している。上映館は68館と小規模であるのにもかかわらず、前週末も観客動員数では10位にランクイン。本サイトでも取り上げたが、主演の能年玲奈あらためのんの独立騒動問題が影響しテレビでの宣伝が極端に少ないなか、逆に口コミで評判を呼んでいるようだ。 それを象徴するかのように、ネット上では同作を絶賛するコメントが多々まとめられているが、そんななかでとくに目につくのは、「反戦・平和のようなメッセージ性がないところがいい」という評価だ。 〈この世界の片隅に 面白かったわ。はだしのゲンや火垂るの墓のような偏狭な左傾反戦平和映画じゃない。〉 〈『この世界の片隅に』は、教科書のお説教みたいな反戦イデオロギー臭さから距離を取ることにかんっぺきに成功している。〉 〈日本が悪い!という思想やメッセージのおしつけがない〉 〈過去の反戦に囚われた作品で
以前に、『原爆文学という問題領域』という川口隆行広島大学准教授の著作を読んだことがある。原爆をモチーフにした様々な表現を評し、それが受容された過程や原爆観の変化も論じ、表現を脱政治化しようとする欲望へ警鐘を鳴らす内容だった。 こうの史代『夕凪の街 桜の国』に対しては、復興の手が届かない被爆者を中心的に描きながら在日朝鮮人被爆者の存在が回避されており、おかげで2ちゃんねるをふくむ広い範囲で高評価されたのではないか、という指摘が印象に残った。しかし、現実を切り取る表現において全てを描き切ることは不可能だという留意もされており、全体的には高評価していると感じた。 しかし読み進めていくと、こうの史代氏がファンクラブの掲示板で残念な発言をしていたことも知った。その内容は川口准教授のブログでも批判されている。 http://ameblo.jp/kawataka/entry-10004305360.ht
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