台湾有事リスクの高まりを踏まえ、日米の民間シンクタンクが2022年から23年にかけて相次ぎ中国が台湾に武力攻撃を仕掛ける想定で机上演習をした。いずれも中国は制圧に失敗するものの、自衛隊や米軍に甚大な被害が出るとの結果が出た。米有利だった戦力差が縮まっている状況も浮き彫りになった。笹川平和財団が23年1月18〜21日に実施した「台湾海峡危機に関する机上演習」には元自衛官や日米の学者・研究者ら30
(北村 淳:軍事社会学者) アメリカ有数の安全保障に関するシンクタンクである「CSIS」(戦略国際問題研究所)が中国による台湾侵攻に関するレポート“The First Battle of the Next War: Wargaming a Chinese Invasion of Taiwan”を公開した。 このレポートにおいては、たとえ米軍と自衛隊の支援によって中国軍が台湾占領という目的を達成できない場合でも、台湾軍はもとより米軍と自衛隊も極めて大きな犠牲を強いられる結果となっている。 質的損害は日米のほうが深刻 このレポートは、中国軍の台湾侵攻を想定したウォーゲーム(注)の結果をまとめたものである。 (注)ウォーゲーム:図上演習、軍事シミュレーション。厳密にはウォーゲームとシミュレーションは若干の相違点がある。日本では娯楽目的のウォーゲームが普及しているため、以下「シミュレーション」と称
自衛隊の人材不足が解消されなければ、待っているのは「恐るべき未来」だ。写真はイメージです ©iStock.com 新築マンション&戸建てが「不人気物件」になる3つの理由…キーワードは「若者減少」「晩婚化」「150万個の空き家」 から続く 【画像】定員不足が常態化してしまった自衛隊 実は過去10年で一度も定数を満たしたことのない「自衛隊の隊員数」。最前線で働く「士」と呼ばれる階級に至っては、充足率が79.8%にすぎない。このまま慢性的な人材不足が解決されなければ、60代の自衛官が最前線に立つ可能性も。 今、自衛隊や警察が抱える問題を、ジャーナリストの河合雅司氏の『未来年表』シリーズ最新刊『 未来の年表 業界大変化 』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/ 前編 を読む) ◆◆◆ 安全を守る人が大不足 人口減少がもたらす公務員への影響は、国民の「安全安心」を守る自衛官や警察官、海上保安
2022年12月、滋賀県今津駐屯地で創立70周年記念行事が行われ、もうすぐ姿を消す第3戦車大隊の74式戦車が一般公開されました。伝統ある部隊マークも消えるようで、残り少なくなった74式戦車とともに足跡を振り返ります。 第3戦車大隊 最後の晴れ舞台 2022年12月4日、滋賀県の琵琶湖西岸、高島市今津町にある陸上自衛隊今津駐屯地において、創立70周年の記念行事が執り行われました。当日は曇り空で気温も低く、少し小雨も降った生憎の天候でしたが、それにも関わらず3年ぶりの式典開催ということから多くの一般見学者でにぎわっていました。 拡大画像 2022年12月4日、今津駐屯地の創立70周年記念式典において、第10戦車大隊と共に観閲行進を行った第3戦車大隊所属の74式戦車(吉川和篤撮影)。 ここ今津駐屯地には、第3師団隷下の第3戦車大隊や第10師団隷下の第10戦車大隊、中部方面隊直轄の移動監視隊や無人
南日本新聞が実施した安全保障関連3文書に関する鹿児島県内首長アンケートでは、政府が保有を決めた反撃能力(敵基地攻撃能力)となる長射程ミサイルの地元配備について、中種子町、宇検村、瀬戸内町、伊仙町の4町村長(9.3%)が賛成と答えた。 【写真】【関連表】南西防衛の主な強化 反対は西之表市、大崎町、屋久島町、大和村、与論町の5市町村(11.6%)。鹿屋市など31市町村(72.1%)は「仮定の話でコメントできない」などとして、「どちらとも言えない」とした。 反撃能力は12式地対艦誘導弾の長射程化などで保有する。現行の12式が陸上自衛隊瀬戸内分屯地にある瀬戸内町は、長射程化が「他国からの攻撃の抑止になる」と賛成し、「防衛省による具体的な説明が必要」と求めた。中種子町、宇検村、伊仙町は国が適地とした場合、防衛力強化のために受け入れると回答した。 反対の理由では大崎町、屋久島町、大和村が「標的となり危
日米共同訓練で偵察ボート10艇で上陸する陸自の水陸機動団の隊員たち=鹿児島県徳之島町の万田海岸で2022年11月18日午後1時16分、山口桂子撮影 岸田政権は2022年に安保関連3文書を改定し、「盾」だけでなく「矛」を持つ方向にかじを切った。「平和国家」はどこへ向かうのか。【「平和国家」はどこへ取材班】 連載「平和国家」はどこへは全7回です。 このほかのラインアップは次の通りです。 第1回 日本と台湾が連絡ルート構築 中国に対抗、水面下で設置 第3回 首相、理念乏しき「反撃能力」 契機は総裁選、背景に安倍氏の影 第4回 海底ケーブル巡る水面下の攻防 情報基盤に迫るロシアの脅威 第5回 初の国産機の夢破れ 防衛部門に配置転換 第6回 防衛の助成金、受けるべきか 歓迎と懸念 揺れる北海道大学 第7回 AIの防衛利用具体化 民間技術取り込み加速 進まぬ兵器規制 「中台紛争で武力攻撃事態に至る可能
政府は、衰退傾向にある防衛産業を包括的に財政支援し、それでも事業継続が困難な場合は工場などの製造施設を国有化できる仕組みを創設する方針を固めた。製造施設は国が保有したまま、生産は事業を受け継ぐ企業に委託する。企業の固定経費を軽減し、重要な装備品の国内製造を維持する狙いがある。必要な法案を来年の通常国会に提出する方針だ。 【イラスト】防衛省が開発を目指す次期戦闘機のイメージ図 法案は「防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案」(仮称)とする方向だ。法案概要によると、防衛産業に関わる企業を対象に、生産基盤の強化や海外輸出の助成など包括的な支援策を明記する。特に「自衛隊の任務に不可欠な装備品を製造する企業」については、これらの支援でも事業を続けられず「他に手段がない場合」に限り、施設の国有化を認める。
首相官邸の建物=東京都千代田区(斎藤良雄撮影)政府がウクライナなど武力侵攻を受ける国に対し、殺傷能力がある防衛装備の無償提供を可能とする法整備を行う方向で検討に入ったことが28日、分かった。来年1月召集の通常国会に自衛隊法改正案を提出する方針。複数の政府関係者が明らかにした。来年5月には広島市で先進7カ国首脳会議(G7サミット)の開催を予定しており、議長国としてロシアによる侵攻に対抗するウクライナを支援する姿勢を明確にする狙いもある。 自衛隊法第116条の3は、防衛装備品を他国に無償提供することを認めているが、弾薬を含む武器は対象外としている。改正案では殺傷能力のある防衛装備も提供可能とし、防衛装備移転三原則の運用指針を書き換えることも検討する。現在の指針ではウクライナを名指しして防衛装備の提供を認めているが、広く「国際法違反の侵略を受けている国」に対する供与を可能とする案がある。 同法改
Published 2022/12/20 17:09 (JST) Updated 2022/12/20 17:26 (JST) 海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長は20日の記者会見で、安全保障関連3文書の改定で導入が決まった米国製巡航ミサイル「トマホーク」をイージス艦に搭載し運用すると明らかにした。今後、艦の改修を進める。酒井氏はトマホークについて「実績、正確性、破壊力を考えると、極めて信頼を置ける。抑止力の強化に大きく貢献する」と強調した。 3文書で決まった陸上自衛隊から海自と航空自衛隊への定員約2千人の振り分けは、海自では新たに建造する「イージス・システム搭載艦」の要員に充てるとの方針を示した。
航空自衛隊は来月、インド空軍との共同訓練を国内では初めて行うと発表しました。海洋進出の動きを強める中国を念頭に、連携を強化するねらいがあるとみられます。 共同訓練は、来月16日から26日にかけて茨城県の百里基地周辺で行われ、航空自衛隊のF2とF15戦闘機それぞれ4機と、インド空軍のスホイ30戦闘機4機などが参加するということです。 航空自衛隊がインド空軍と国内で共同訓練を行うのは初めてで、訓練を通じて連携強化を図りたいとしています。 日本とインド、それにアメリカとオーストラリアを加えた4か国は、海洋進出の動きを強める中国を念頭に、「クアッド」と呼ばれる枠組みで安全保障などさまざまな分野で連携を進めていて、ことし5月に行われた岸田総理大臣とインドのモディ首相との首脳会談で、戦闘機の共同訓練の早期実施に向けて調整を進めていくことで一致していました。 自衛隊が国内で他国の戦闘機と共同訓練を行うの
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