ベネッセが本社を岡山に置き続けるワケ 福武英明氏(以下、福武):今、中野さんの話でそうだなと思ったのは、アートの役割や汎用性は担保できないよねという話。瀬戸内や直島の活動をしていると、よく批判にあがるのが、「とにかく不便だ」「行くのに疲れる」と(笑)。 瀬戸内国際芸術祭などの繫忙期になると、「人」の積み残しが出るんですよ。でも船には定員があるので「島に行ったけれども帰れない」ということもけっこう発生しているんですよね。そういうとき、僕らとしてはけっこうジレンマがあって、もちろん利便性を改善させる必要性を感じつつも、非効率性による価値をどれぐらい保てるか、と。 経済活動をずっとやっていくと、最終的にスピード、コスト、効率性を極限まで追求していくというのがどうしてもあります。今の資本主義の世の中だったらそうなるじゃないですか。そこに対するアンチテーゼのような活動をしているのかな、というのがあっ