テレビの報道カメラマンは50年以上、桜を撮影してきた。名所から、地元の小さな桜まで。JNN各局のライブラリーには桜映像が一万本以上眠っている。 我々報道カメラマンは手分けして、これまで撮りためた桜の動画を見つめてみた。 47年前、ダムに沈み行く村。「こんなに満開で、私を見送ってくれている」 庭先にある桜の大木を見ながら家主は、最後の別れを告げた。 あの桜と家主はその後どうなったのか…。 23年前、過疎で悩む山村の小学校。 校庭の桜に囲まれ、4年ぶりに入る新一年生に村は大騒ぎ。 「はい!」 村中の人が見守る入学式で元気いっぱいに返事をした女の子は、今どうしているのか…。 かつての桜の映像には、桜に想いを馳せた“ひと”の物語が映っていた。 それぞれに桜の樹の下でドラマがあり、人生がある。 「あの桜は、あの人は今どうしているのか―」 過去のカメラマンの映像を頼りに、“桜”と“ひと”を訪ねる旅が始