立憲民主党が重要法案の対応で迷走している。外国人の送還や収容のルールを見直す入管難民法改正案では、与党から修正協議で譲歩を引き出しながらも執行部が反対を決め、交渉役の議員の努力が無に帰した。脱炭素社会に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)推進法案でも党の支持団体・連合の意に反し、修正協議が土壇場でひっくり返った。いずれも執行部が左派系支持層の意向を重視した結果で、立民の「左回帰」が顕著だ。 入管法改正案は28日の衆院法務委員会で、与党と日本維新の会、国民民主党が提案した修正案を可決した。一方、反対した野党筆頭理事の寺田学氏(立民)は採決後、記者団に「ほぼ原案通りの法律が通ってしまった。痛恨の極みだ」と沈痛な表情で語った。 寺田氏ら立民の実務者は法案修正のため昨年から水面下で政府・与党側と接触し、21日からは公式協議を始めた。与党は立民の主張を一部取り入れ、難民認定を判断する「第三
「サル」発言について記者会見する立憲民主党の小西洋之参院議員=3月30日午後、国会内(矢島康弘撮影)言葉の重みについて考えている。というのも、言論の府に身を置く国会議員の言葉の軽さが目立つからである。そう、立憲民主党の小西洋之参院議員のいわゆる「サル」発言だ。 小西氏は衆院憲法審査会の原則週1回開催を「サルがやること」「蛮族の行為」などと批判した。その後の記者会見でも、質問にまともに答えず早口で自説を延々と述べていた。撤回も謝罪もしていない、と受け止めた。 困難な意思疎通小西氏は発言を報じたメディアに対しツイッターで「元(総務省)放送政策課課長補佐に喧嘩(けんか)を売るとはいい度胸だ」とも投稿した。官尊民卑の姿勢がよく分かる。党から注意を受け、役職も解任されたが、なぜ発言に至ったのか、何を撤回して何に対し謝罪したのかがいまだにはっきりしない。共通の言語での意思疎通が困難な状況にある。 これ
立憲民主党の小西洋之参院議員が、衆院憲法審査会の毎週開催を「サルがやることだ」と侮辱した。与野党の反発を受け、立民は小西氏を憲法審の野党筆頭幹事から更迭し、追加処分で「幹事長による注意」とした。党規約が定める4段階で最も軽い処分だ。 便宜上「サル発言」問題と表記しているが、より大きな問題は、その後の小西氏の言動だと思っている。発言を報じたメディアに関し、ツイッターに恫喝(どうかつ)めいた投稿を連投したうえ、記者会見で「名誉毀損(きそん)に該当する」などと主張し、法的措置もちらつかせて報道を批判した。 ところが立民は、こうした言動をさほど問題視していないように見える。岡田克也幹事長は「記者にいろいろ聞かれて、言わなくてもいいようなことを言った」と述べたが、記者が挑発したせいだと言わんばかりだ。小西氏自身も、サル発言は謝罪したものの、会見での発言やツイッター投稿は取り消していない。 小西氏の報
選挙遊説中に岸田文雄首相が襲われた爆弾テロ事件には、昨年7月に殺害された安倍晋三元首相銃撃事件と多くの類似点が浮かんでいる。 両事件とも遊説中の犯行であり、凶器となった銃や爆発物が手製のものとみられること、両容疑者に組織的背景がみられないことなどだ。 岸田首相を襲い、威力業務妨害容疑で逮捕された木村隆二容疑者は、参院における30歳未満の被選挙権を求めた訴訟の準備書面で安倍氏の国葬を批判していた。木村容疑者が安倍氏の事件に触発されて犯行に及んだ可能性は高い。 特定の組織に属さない単独犯のテロは「ローンオフェンダー」と呼ばれ、警察など治安当局にとっては存在を把握しにくい対象だ。手製とみられる銃や爆弾は、インターネットによる知識と市販品で製造することが可能だ。 構造は単純だが、実際に安倍氏は命を落とし、岸田氏の襲撃でも爆弾の精度、威力が強ければ大惨事となっていた可能性がある。 選挙遊説中の警備の
日本学術会議が、会員選考方法の見直しを盛り込んだ政府の学術会議法改正案に反発している。学術会議は総会で、政府に対し、同法改正案の今国会提出を思いとどまり、「開かれた協議の場」を設けるよう求める勧告を決めた。 同法改正案は第三者による「選考諮問委員会」を新設し、会員選考に関与させることが柱だ。総会では「政府の介入」を懸念する声が相次いだ。身勝手な組織防衛にすぎず、翻意して同法改正案に賛同すべきだ。 会員選考見直しは、菅義偉首相(当時)が学術会議側が推薦した候補のうち6人の任命を認めなかったことがきっかけだ。総会では任命拒否撤回を求める声も出た。任命権者は衆院選など民主的な手続きで就任した首相である。撤回論は民主主義に反する。 学術会議は、昭和25年と42年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対に行わない」とする軍事忌避の声明をまとめ、平成29年に声明継承を宣言した。侵略者から日本を守る自衛隊の
撃墜され、落下する中国の偵察気球=2月4日、米サウスカロライナ州沖(ロイター=共同)少し前に、米国やカナダの領空に侵入した中国の偵察気球が米軍機に撃墜されたことが、大きなニュースになっていた。中国は反発していたが、あの撃墜は合法的な行為である。国際法上は気球も「航空機」に分類され、各国は領空侵犯した航空機に対して、無線による着陸指示などに従わなければ、撃墜することが認められているからだ(民間航空機は除く)。だから、中国も分が悪いと思ったのだろう。それ以上のアクションは控えていた。 元陸上幕僚長の火箱芳文氏(菅原慎太郎撮影)さて、問題はわが国である。このニュースの後、日本上空でも過去に、中国の偵察気球とみられる物体が何度も飛来していたことが明らかになった。これら物体が本当に中国の偵察気球であったとすれば、日本を偵察し放題だったのに、わが国の自衛隊は撃墜も何もできなかったことになる。領空侵犯に
岸田文雄首相の母校、早稲田大学の創立者として知られる大隈重信が右脚を失ったのは、明治22(1889)年10月である。当時外相だった大隈は、閣議を終えて馬車で外務省に戻る途中爆弾を投げつけられた。 ▼外務省の一室に担ぎ込まれた大隈は、気丈にも駆け付けた医師たちに切断を促した。「先(ま)ず先(ま)ず自分は文明の利器で以(も)ってやられたんだからよい」。初代文相、森有礼(もりありのり)の8カ月前の刺殺事件が頭にあったのか冗談さえ口にしていた(『エピソード大隈重信』)。 ▼犯人の来島恒喜(くるしまつねき)(29)は短刀で喉をついてその場で自殺する。大隈は徳川幕府が結んだ不平等条約の改正に取り組んでいた。その内容が屈辱的だと、不満を募らせた末の犯行だった。
岸田文雄首相の選挙応援演説会場で爆発物が投げ込まれた事件で、威力業務妨害容疑で逮捕された兵庫県川西市の無職、木村隆二容疑者(24)が選挙に出馬できる年齢制限などを定めた日本の選挙制度に強い不満を持っていることが18日、明らかになった。日本の被選挙権年齢は衆議院が25歳以上、参議院が30歳以上と規定されているが、近年は若者の政治参画促進を目的に見直しを求める声もある。ただ世界の被選挙権年齢を見渡すと、主に「18歳」「21歳」「25歳」の3つに大別されているようだ。 国立国会図書館が令和2年に公表した資料によると、日本の衆院にあたる下院(一院制含む)での被選挙権年齢が判明した195カ国・地域のうち、最多は「18歳」の65カ国(33・3%)。英国やドイツ、豪州などが該当する。英国は2006年の法改正で被選挙権年齢を21歳から18歳に引き下げた。「議員に関心があり、職務を果たせる21歳未満の若者が
環境への影響を懸念する静岡県の川勝平太知事が県内工区の着工を認めないリニア中央新幹線を巡り、同氏による「引き延ばし」が鮮明になってきた。主要論点である大井川の流量維持問題で、対応策として有力視される上流部のダムの取水抑制案実現に向け、県や流域市町などは3月27日の会合で、水利権を持つ東京電力側とJR東海の協議入りを了承した。だが、翌28日に「疑問点がある」などと、なおも消極姿勢を見せる川勝氏に一部の首長は不信感を隠さない。政府関係者は同氏の姿勢に「こんなの行政ではない」と憤る。 「ここで決定をしないと遅くなる」 3月27日夜、静岡県庁で開かれた流域10市町などでつくる大井川利水関係協議会。JR東海と東電側の協議入りについて、即決を避ける県の姿勢に市町側から不満の声が相次いだ。会合では協議入りを了承することで大筋合意したにもかかわらず、事務局の県が「意見を取りまとめてJRに文書で照会する」と
道徳の教科書でおなじみの話に「星野君の二塁打」がある。少年野球で星野君は監督のバントのサインに従わず二塁打を放ち、チームは勝つ。だが次の試合でメンバーから外される。集団の規則などを教える話だ ▼現行の小学校高学年の道徳教科書に載っている定番だが、来春から使用の教科書から消える。野球経験がない子が増えた事情もあろうが、「服従」させるのは時代に合わないらしい。まじめな小欄は上司の命令は〝絶対服従〟だが ▼「大谷君」ならどうしただろう―とみんなで考えるには良い教材だったのに残念だ。道徳は教科化されたが、なお戦後の自虐史観にとらわれ「愛国心」などと言おうものなら、拒否反応が起きる
【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の工作機関が、スパイとして取り込んだ韓国最大の労働組合の幹部らに東京電力福島第1原発事故に絡めて韓国社会の反日感情をあおり、日韓両国を極度の対立状況に追いやるよう指示していたことが、韓国当局の捜査で分かった。背景には北朝鮮の故金日成(キム・イルソン)主席が半世紀前に韓国攻略に向けて唱えた日韓の離間策があり、現代でも韓国社会を揺さぶっている実態が浮かび上がった。 韓国警察と情報機関、国家情報院は1月、韓国最大の労組の全国組織「全国民主労働組合総連盟(民主労総)」の本部などを家宅捜索。3月末には、北朝鮮工作員と東南アジアなどで接触して指令を受け、反政府活動を行ったとして、国家保安法違反容疑で、民主労総の中枢幹部や元幹部ら4人を逮捕した。 当局は100件以上の北朝鮮からの指令文を押収し、実態の解明を進めてきた。文化日報や中央日報などの韓国紙によると、日本政府が福島第1原
名古屋市の名古屋マリオットアソシアホテルで3月28日に開かれた第51回名古屋「正論」懇話会で、防衛省防衛研究所の高橋杉雄防衛政策研究室長が「厳しさ増す世界の安全保障環境と日本の課題」と題して講演した。講演要旨は次の通り。 そもそも戦争はなぜ起こるのか?一つ目は政治指導者が悪い。今回のロシア・ウクライナ戦争ではプーチンが悪い。確かに指導者が悪いというのは理由なのだけれど、これだけを理由にすると戦争を防ぐ手立てが見つからない。 二つ目は国家体制が悪い。独裁主義という悪い国があって、それが戦争を起こす。今回はロシアが悪い。民主主義が広がれば世界が平和になる、という考えがある。しかし、アメリカがいっぱい戦争をしていることから分かる通り、民主主義国家がそれ自体平和だということはない。民主主義国家同士の戦争というのは非常に少ない、というのは分かっている。 マクドナルドによる平和という議論がある。マクド
安倍晋三元首相の国葬で、献花を終えた昭恵夫人=令和4年9月27日午後、東京都千代田区の日本武道館(代表撮影)自民党の安倍晋三元首相は凶弾に倒れてもなお、左派系の人たちの批判の的となり続け、時に憎悪にも似た心ない言葉を投げつけられている。「政治家は歴史の法廷の被告席に座る」と語ったのは中曽根康弘元首相だ。時の権力者を検証する作業は極めて重要である。だが、安倍氏の場合、亡くなってから1年もたっておらず、歴史の法廷に立つのはまだ早かろう。安倍氏に執着する人たちの心の底には、一体何があるのか。 上映が終わると観客から、エンドロールの前と後の2回、拍手が起きた。映画のタイトルは、安倍氏を題材にした「妖怪の孫」。「妖怪」が「昭和の妖怪」といわれた祖父の岸信介元首相を指しているのは想像に難くない。 筆者はある夜、この作品を見るために映画館に足を運んだ。作品のホームページには「戦争ができる国になろうとして
中国人権侵害究明議連で講演する元日中青年交流協会鈴木英司理事長=2月17日午前、国会内(矢島康弘撮影) 昔、といっても14年前まで、日本経済団体連合会の本部がある経団連会館は、大手町の弊社から徒歩1分のところにあった。 「財界総理」との異名をとった2代目会長、石坂泰三氏の鶴の一声によって建設され、高度経済成長真っただ中の昭和41年に竣工(しゅんこう)した。 池も噴水もあった旧会館地上18階、玄関前には池と噴水が設置された堅牢なビルで、高くても10階程度の建物が多かった大手町で威容を誇っていた。昭和の終わりに記者になった筆者も取材で何度か入館したが、「これぞ財界」という重厚な空気が漂っていた。大手町の再開発に伴い、経団連会館は日比谷通り沿いに高さ122メートル、地上23階のシャープな高層ビルに生まれ変わったが、引っ越して以来、気のせいかどうも存在感が薄くなった。 昨今の会長について、旧会館の
原爆投下前後の広島を描いた漫画「はだしのゲン」。これまで広島市立の学校で使われる平和教材に掲載されてきたが、令和5年度から別の作者の作品に変更されることが分かり、波紋を広げている。市教育委員会は「時代の変化に伴い、一部だけを切り取った掲載では誤解を生じる可能性がある」と説明。一方、市民団体からは「子供たちに伝えていかなければならない作品」と批判の声が上がっている。教材への使用について賛否が渦巻く「はだしのゲン」とは、そもそもどういった漫画なのか。 「はだしのゲン」は、国民学校2年の中岡元(げん)が原爆投下により父親やきょうだいを失う悲惨さや、生き残った母親、仲間たちと支えあって成長していく姿を描いた中沢啓治さんによる自伝的漫画。昭和48年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載がスタートし、翌年にいったん終了した。その後、市民団体のオピニオン誌や共産党系の論壇誌で掲載され、日本教職員組合(日
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