アフリカ東部ソマリアの周辺海域で多発する海賊に、日本のマグロ漁が脅かされている。ソマリア周辺で操業できなくなった台湾、中国や欧州の漁船が、日本の主な漁場である日本近海などへの移動を望んでいるためだ。マグロ類は漁獲制限が厳しく、国際会議での事前配分が必要。11月から始まるマグロ漁の国際会議では、各国間で配分をめぐるつばぜり合いが激しくなりそうだ。 ソマリア沖のインド洋西部で海賊の被害が目立ちはじめたのは2005年ごろ。外務省によると、09年に世界で発生した海賊事案406件のうち、ソマリア周辺が半数以上の217件を占めた。今年も減る気配はなく、政府は09年から海上自衛隊の護衛艦を派遣している。 水産庁などによると、海賊は当初、タンカーや貨物船を主にねらっていた。しかし08年ごろからは東方に活動範囲を広げ、漁船も標的にしはじめた。小型ボートで近づいて襲う手法が広がり、奪った漁船を海賊船に転用