2015年から1年間、米プリンストン大の移民開発研究所で研究していた当時の森千香子さん(右)。ブルックリンでの現地調査が新著につながった=本人提供 「ジェントリフィケーション」 一般にはあまりなじみのない言葉だが、都市の再開発および、それに伴う地価の高騰、低所得者の立ち退きなどの現象を指す。高級化とも訳される。オリンピックを理解する上で重要な言葉のはずだが、振り返れば、真正面から向き合ってきたとは言えない。開幕まで100日を切った今夏のパリ五輪を前に、一人の専門家を訪ねた。 2月末、東京都豊島区のジュンク堂書店池袋本店。森千香子・同志社大教授(51)の著書「ブルックリン化する世界――ジェントリフィケーションを問いなおす」の刊行記念イベントがあった。 森さんは「ジェントリフィケーションは日本語でも説明の難しい言葉。編集者からはサブタイトルとして長過ぎると言われた」と苦笑しつつ、こう述べた。