午前中の決まった時間になると、椅子が並べられた部屋は15人ほどの女性で埋まり、同じく女性の先生がホワイトボードの前に立つ。一人ひとりの手に収まるのはイスラームの聖典『クルアーン』であり、先生が指摘したページをみな一斉に開いて朗唱が始まった。 これは、おもにシリア難民女性と子どもを支援する、ヨルダンのNGO「SWA(Syrian Women’s Association)」で毎日見られる光景である。こうしたNGOによって運営される街中のクルアーン学校をはじめとし、さまざまな慈善活動がヨルダンには無数に存在する。 2011年にチュニジアを皮切りに発生した「アラブの春」が、エジプトでは革命によるムバーラク政権崩壊、シリアでは内戦の勃発と泥沼化というかたちで各地に波及した。シリア難民の発生は、今世紀最大の人道危機とも称される非常に深刻なものである。シリア国民の半数以上が難民・避難民化したとされ、簡易