アートとは何か、アートは社会とどう関われるか。気鋭のキュレーターがアートの役割を根源から問いなおす、コラム連載第11回。 アーティストの特権 ただいま、東京の都心の真ん中、表参道のもうすぐ壊される地下のスペースで、会田誠が個展を開催している。既存の「都市計画」とは別の道を、アーティストの創造性によって新しいヴィジョンへ開こうという、大林組を母体とする財団が今年から新しく始めた助成事業である。新宿御苑の再活性化を提言した「新宿御苑大改造計画」(2001)をはじめ、会田誠は、思考実験の形を取りつつ、国家や都市の「ありうべき形」の提言をたびたび行い、時に物議を醸してきた。オリンピック前の大規模な再開発が進む東京で、この事業のバックボーンは承知の上で、この展覧会には、上から目線で被せられる「都市計画」に矢を放つ提言が、濃厚につまっている。例えば、自然発生的に生まれるスラムの枠組みに、これからの都市