100年続く会社を作ること。100年続く老舗をめざすこと。100年続く事業を育てること。本書には100年という言葉が何回も出てくる。学ぶべき先輩企業は創業180年目を迎えようとしているエルメスや、室町時代からつづく和菓子の虎屋だという。この気宇壮大な目標を持つ会社の名前こそ、本書のタイトルにもなっている「気仙沼ニッティング」である。 ニッティングの広義は編み物一般だが、狭義はおもに2本の長い棒を使う棒針編みのことだ。両手に棒を持ち、人差し指を器用に動かして、マフラーやセーターを作る手芸だ。アマゾンの本売り場で「編み物」を検索すると5786点もの書籍や雑誌がヒットする。日本ヴォーグが発行する季刊誌「毛糸だま」の発行部数は56,000部だ。多くの人々にとっては家庭内での実益を兼ねた趣味だ。しかし、気仙沼ニッティングはそれを生業にする会社として2013年6月6日に誕生した。 古来6歳6月6日は習