山下和美(やました・かずみ)/1959年、北海道小樽市生まれ。横浜国立大学中退。80年、『おし入れ物語』でデビュー。2003年『天才柳沢教授の生活』で第27回講談社漫画賞一般部門、『ランド』で今年度第25回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞(撮影/写真部・東川哲也) AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。 建築を愛する漫画家の山下和美さんは、世田谷に立つ、水色の瀟洒な洋館・旧尾崎行雄邸に一目惚れ。しかし貴重な館は土地ごと売却される話が進んでいた。愛する館を守るべく、多忙な漫画の仕事の傍ら、著者は立ち上がる。SNSでの呼びかけに保存を望む声が続々と集まり、開発計画を阻止するために、区役所までも巻き込む事態に。そんな現在進行形の事態を描いたコミックエッセー『世田谷イチ古い洋館の家主になる』が刊行された。著者である山下