他のヒット作とは決定的に違う ハリウッドのストライキによって洋画のライバル大作が例年より少なかったことも、前作の100億突破による報道がさらに観客を呼んだことも要因のひとつではあるだろう。だが、そんな分析を書いていても何か的を外しているように感じてしまうのは、そもそも27作目を迎えて最高記録を更新し、ついに毎年100億円の成績をあげるに至った劇場映画シリーズなど、日本どころか世界を見渡してもほとんど例がないからだ。 しかもその内容は“ラブコメと推理”という、本来なら国民的ヒットや長寿シリーズになりにくいジャンルの作品なのである。数多い日本の漫画ヒット作の中で、推理とラブコメというジャンルで100巻を超えた少年漫画は『名探偵コナン』以外にひとつもない。興行収入で100億を超えたアニメ映画でも同様である。なぜ『名探偵コナン』シリーズだけがマーケティングの常識を裏切り、四半世紀を超えて人気を維持