貿易交渉は、常にポリティカルなものだ。参加各国の国内利益関係者の思惑を反映せざるを得ないがゆえに、それぞれの国内政治状況に強く影響される。 しかし、アジアの地域自由貿易協定は、単にポリティカルなだけでなく、地政経済的(ジオエコノミー=geo-economy)な要素を強く持ちつつあり、欧州域内、米州域内のものとは大きく異なる。 私事ながら、世界経済フォーラム(ダボス会議)の有識者会議で参加する専門委員会が、これまでの日本に関する委員会からgeo-economyの専門委員会に変更になった。geo-economyとは、地政学(geopolitics)と経済(economy)の相互関係を表す言葉だ。近年の地政学リスクの高まりが、世界経済にも大きな影響を与えつつあるという課題意識で、この専門委員会が今年新設された。 先立ってその第一回会合がアラブ首長国連邦のドバイで行われた。議論の中で、今後注視すべ