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イメージを引き裂かれた「怪物」 旧約聖書に登場する大きな蛇、もしくは竜の姿をした海の怪物「レヴィアタン」。トマス・ホッブスは自著『リヴァイアサン』で、万民の権利を委託され、強大な力を持つに至った「国家(コモンウェルス)」としてこの怪物の名を引いた。群がる臣民が王冠を被る巨人の姿を形作った有名な挿絵から、「海の怪物」として産み落とされたこの怪物は、個々人のイマジネーションの中で引き裂かれ、不定型化した、というのは言い過ぎかもしれない。ただ、その名を冠した本作『リヴァイアサン』の噂を「古臭いドキュメンタリー論をぶっ飛ばす!(『ヴィレッジ・ヴォイス』)」「ゲームの規則は書き換えられた(『フィルムメーカー・マガジン』)」「あらゆる意味でセンセーショナル(『アートインフォ』)」などと熱烈な賛辞を伴って目にする度、そして何の映画であるかは全く説明していないのに、とにかく得体のしれなさ、奇妙な美しさだけ
恩地孝四郎《白い花》 そもそも、植物学の専門家が花の絵を前にしたら、どのように見えるのでしょうか。少し意地悪な出題ですが、恩地孝四郎《白い花》を見てください。 リンネがその基礎を築いた分類学に従えば、花とは、オシベやメシベ、花弁の形や数などから植物の種を判断するための指標でしかありません。そのため、この作品のように「花」と題されてしまうと、斜めの線が○○で、左側を覆う花ひらのような部分が○○で、恐らくイネ科の植物なのかな、と考えてしまいます。でもきっとそれは誤りなのでしょうね。 この絵の作者、恩地孝四郎は、日本で初めて抽象的な表現を取り入れた画家のひとり。画家自身の内にある生気が、形や色彩そのものへと充溢(じゅういつ)し独特の「抒情」をたたえる画面を生み出そうとしました。すると、ここでの白い花とは現実の具体的な花を描いているのではなく、恩地の心の中に花開いた詩情のようなものかもしれません。
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