ドイツ、ミュンヘン中央駅に到着した。今年の8月から9月にかけて、ここに中東からの難民が大挙して押し寄せたことは記憶に新しい。各国当局による国境の管理強化や難民に対するケアの拡充によって、現在は平穏を取り戻している。 だが、ウィーンからの列車の車窓からは、警察や軍に誘導される難民たちの姿がたびたび見られた。着の身着のままで戦火や恐怖政治のシリア(だけではないが)を逃れ、祖国から遠く離れた欧州の地を彷徨うその姿に胸が痛む。筆者の知るあの平和だったシリアがわずか4年あまりでこれほどまでに荒廃してしまうとはーー。シリアはこの先どうなってしまうのかーー。 世界の誰もがシリア「内戦」の一刻も早い終息を願っている。しかし、シリアという国がどうあるべきか、という問いに対してはいまだに一致した答えがない。国際社会はもとより、シリア人自身も「あるべき秩序」をめぐって分裂状態にある。 こうした「あるべき秩序」を