しかし、その後の展開を見ると、ロシア経済は当初の想定ほど悪化していない。背景の一つに、中国やインドなどがロシア産原油などを輸入していることは大きい。ロシアが原油を売ることができれば、国全体としての収入は大きく減ることはない。その一方、制裁の影響もあり、自動車や半導体など欲しいものを輸入することができない。その結果、GDPのマイナスは小幅に収まっている。 ただ、中長期的に考えると、ロシア経済の先行きはかなり不安だ。ロシアでは、人々の生活に必要なモノやサービスを供給することは一段と難しくなるだろう。すでに自動車の生産は大きく減少している。SNSを通して人々の不満も増幅されやすくなる。長い目で見るとロシア経済の縮小均衡は避けられないだろう。 デフォルトの懸念が大きく高まったはずが… 2022年4月、世界銀行は同年のロシアの実質GDP成長率を-11.2%と予想した。また同月、ロシア中銀はその年の実