教育データの利活用を進めるために何が重要なのか――先進的な取り組みを行う教育長へのインタビューから見える「コツ」と課題 川口俊明 教育学・教育社会学 教育 1.教育改革のトップランナー 筆者も何度か指摘してきたように、日本の教育行政はデータを活用することが「下手」である。学力調査を例に取ると、調査を行っている自治体こそ多いのだが、学力に大きな影響を与える家庭環境の情報を把握しておらず、成績がよいのはもともと社会的経済的な立地に恵まれた学校ばかりといった事態に陥りやすいのだ【注1】。断っておくが、筆者は新しく調査を行えと言いたいわけではない。わざわざ調査をしなくても、個々の自治体は学校のみならず、子どもやその家庭環境に関する情報を持っている。だからまず解決されるべきは、ほとんどの自治体で、個々のデータが相互に結びつけられること無く「死蔵」されてしまっているという問題だ。 ここで「ほとんどの」