巨大労働市場でチャンスを掴め――移民が支える湾岸アラブ諸国 松尾昌樹 地域研究(中東)、国際政治経済学、移民研究 国際 #移民#ドバイ ドバイに行って何を見るか。私の一押しは、間違いなく移民だ。 ドバイ人口の約8割は、移民で占められている。その大半はインド出身で、他にもパキスタンやバングラディシュといった南アジア諸国、スーダン、エチオピア、エジプトなどのアラブ・アフリカ諸国、フィリピン、インドネシアといった東南アジア諸国など、世界中のさまざまな場所からやって来る。 この状況は、程度の差こそあれ、ドバイを含むアラブ首長国連邦、カタール、クウェート、オマーン、サウジアラビア、バーレーン――本稿ではこれらの国を「湾岸アラブ諸国」と呼ぶ――でも共通している。元来の人口規模が小さかった所に、1970年代以降に莫大な石油(カタールの場合は天然ガス)輸出収入が流れ込むことで急速に経済が拡大し、付随して発