【特集・新国家安全保障戦略のリアル(第3回)】 ウクライナ侵攻で見られるウクライナ軍の戦術的勝利には多くの要因が考えられる。筆者はその要因の1つとして、ウクライナ軍が先進技術や最新の装備品(先進技術等)を比較的うまく組織全体に「実装」できていることを挙げる。 本稿では、ウクライナ侵攻の教訓を通じ、先進技術の組織全体への実装が安全保障分野でも重要であることを述べるとともに、人工知能(AI)を用いた新しい戦い方に対応するために、わが国が考えるべきことについて述べる。 先進技術等の「実装」度の差が表れた ウクライナ侵攻においてウクライナ軍は、先進技術等を活用した非対称戦がロシアのような大国にも通じうることを明らかにした。ウクライナの最新地対艦ミサイル「ネプチューン」の攻撃はロシアの巡洋艦「モスクワ」を撃沈した。 また、高機動ロケット砲システム「ハイマース」を含むアメリカから提供された装備品は、ウ