「あなたが食べたものがあなた自身である」という言葉を耳にしたことがあるだろう。食べ物は私たちの肉体や精神をつくり、さらにアイデンティティや文化とも深く関係する。それだけではなく、「何を食べるか」についての選択それ自体が政治的な投票行動に結びつき、環境問題といった世界的課題にも影響を及ぼすことができる、と考える人たちが増えている。 そうした背景には、食料安全と食料主権が世界的規模で脅かされつつあるという危機感がある。日本においても、2017年は種子法の廃止が可決され、国や地方自治体が管理していた種子が自由競争の下で解放された。今後は、日本国内においても、米を含めた農産物種子のグローバル企業の支配が強まり、農業者や消費者の食糧主権が脅かされていくことや、遺伝子組み換えなど新しい技術がもたらす弊害に対しての危機感が高まっている。一方、食と農のシステムが大きく変わろうとしている時勢の中で、草の根の