画面に子供がたたずみ、こちらを見つめる。こんな画風で国際的な評価と人気を得ている美術家・奈良美智(よしとも、57)の30年の足跡と現在形を紹介する大規模個展が、愛知県の豊田市美術館で開催中だ。自身と向き合い続けた、一途な歩みが伝わってくる。 人形や雑貨、大小の本、そして324枚のレコードジャケット。展示は、幼少期から奈良が親しんだ品々で始まる。 青森県弘前市で生まれ、小学生時代は羊や犬と遊び、FEN(米軍の極東放送)で英語の音楽放送を聞きながら、チラシの裏に落書きを描き続けるような子供だったという。中学からレコードを集め出す。 「弘前には美術館もなかったし、レコードのジャケットが画集のようなもので、大学で美術を勉強するようになって、この画家はあのジャケットの人だと再発見した」と明かす。同時に「もし自分の絵に深みがあるのなら」、それは親しんできた本や音楽によると考えている。こうして展示は最初
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