節電要請、電力自由化、老朽火力発電所や原発停止、急速な再生可能エネルギーへのシフト、ロシアのウクライナ侵攻など複合的な要因が絡み合い、エネルギー問題は理解しづらいものになっている。もともと日本は資源に乏しく、さらに「脱炭素」という足枷がはめられている以上、今後も不確実性はつきまとう。こうした状況をどう読み解き、国や企業は短期・中長期的にどう動いていくべきか。エネルギー・アナリストでポスト石油戦略研究所代表を務める大場紀章氏の提言をまとめた。 by Atsuji So2022.09.14 9 9 「昨今の電力需給の逼迫を『脱炭素化のせいだ』と主張する人がいますが、それは必ずしも正しくはありません。実際には電力自由化制度の問題なのです」 この記事はマガジン「脱炭素イノベーション」に収録されています。 マガジンの紹介 脱炭素化と安全保障問題、そして頻発する電力逼迫など、エネルギー問題は一般の人々
ロシアのウクライナ侵攻により原油や天然ガスの先物価格が高騰している。ロシアの石油・天然ガスの輸出量シェアは高く、資源を輸入に頼る日本への影響は甚大だ。今後、ロシア産の石油・ガス輸出が途絶する可能性はあるのか。エネルギーアナリストでポスト石油戦略研究所代表の大場紀章氏に解説してもらった。 ウクライナ情勢が喧(かまびす)しい。日々刻々と変化する情報を追いかけ、さらにその検証を行うだけで時間が過ぎていく。国際政治の世界は、まさに「一寸先は闇」であり、今後誰がどのような判断を行うのかは、文字通り「不確実性」そのものである。 そのような中で、原油価格の高騰が続いている。2022年3月3日、原油の国際指標の1つである北海ブレント原油先物価格が一時、1バレル118ドルを超えた。1週間の平均価格の推移ベースでは、2020年3月上旬の5倍であり、これは2年間の価格上昇として過去最高水準の速度である(図1)。
昨今の原油高や欧州での電力・ガス価格の高騰などは、なぜ起きているのか。急激に動き出した各国の脱炭素政策の影響はあるのだろうか。エネルギーアナリストでポスト石油戦略研究所代表の大場紀章氏に解説してもらった。 現在、世界同時多発的にエネルギー危機が発生している。特に、欧州での電力・ガス価格の高騰、中国での計画停電、そして原油価格高騰によるガソリン高が話題になっている。 こうした問題を受けて「脱炭素政策の行き過ぎによるもの」という指摘がある。全く無関係とまでは言わないが、ほとんどナンセンスと言っていい。そう説明がしたい人による説明だろう。 そもそも「脱炭素政策」というのは、この2年で急に世界で起きたムーブメントであり、そのような短期間でエネルギー供給の構造が大きく変わるということはない。 それでは、なぜエネルギー価格が一斉に上昇しているのか。価格高騰原因は、どこを起点にして、何を前提にして考える
ガソリン価格の上昇が止まらない。石油情報センターによると、10月18日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売り価格は7週連続で値上がりし、1リットルあたり164円60銭だった。エリアによっては170円を超え、ハイオクに至っては180円を突破しているところもある。2014年10月以来、7年ぶりの高水準となる(図1A)。 ガソリン価格上昇の原因は、当然のことながら原油価格の上昇である。原油のベンチマーク価格であるWTIは、10月20日の時点で1バレルあたり82ドルを超え、こちらも同じく14年10月以来となった(図1B)。 ただし、当時と現在で異なる点が二つある。それは、消費税率と為替である。 消費税率は19年10月より8%から10%になった。また、当時の為替は約108円/ドルで、現在は約114円/ドルの水準である(図1C)。もし税率と為替が当時のままだとして計算すると158円/Lとなり、つまり
カーボンニュートラル実現に向けて求められる産業や社会の変革について、ポスト石油戦略研究所代表の大場紀章氏にインタビューした内容の後編。 前編では、カーボンニュートラル実現に向けた世界の動きや、日本がカーボンニュートラルを実現するために必要な取り組みについて伺った内容を掲載した。後編では、カーボンニュートラルに向けたエネルギー事業や産業活動・社会活動のデジタルトランスフォーメーション(DX)への期待、日本企業の課題などについて伺った内容を紹介する。 福本: カーボンニュートラルを目指す上で、再生可能エネルギー(再エネ)発電の拡大やデマンドレスポンス(DR)、バーチャルパワープラント(VPP)などの電力の需給調整の取り組みが求められるのではないかと思いますが、エネルギー事業に期待されるDXについてお聞かせください。 大場: 電力事業のDXという視点でお話ししますと、再エネの発電予測や変動する電
2015年の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択された「パリ協定」に基づき、世界各国で2050年カーボンニュートラルに向けた動きが本格化しつつある。カーボンニュートラル実現に向けて求められる産業や社会の変革について、ポスト石油戦略研究所代表の大場紀章氏に本ウェブメディア「DiGiTAL CONVENTiON」編集長 福本勲が話を聞いた。 前編では、カーボンニュートラル実現に向けた世界の動きや、日本がカーボンニュートラルを実現するために必要な取り組みについて伺った内容を紹介する。 福本: まずは大場さんのご経歴をお聞かせください。 大場: 大学院では超伝導や磁性体の研究に従事していました。その後、民間のシンクタンクに入社し、7~8年間、自動車業界の視点からエネルギー産業を見てきました。その後、フリーランスのエネルギーアナリストとして活動し、2021年にポスト石油戦略研究所を
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