ドイツ・アーヘン市から70キロたらず ドイツの西部のアーヘン市は、ベルギー、オランダ両国と角を付き合わせるように接する場所だ。人口24万人、工科大学が有名。 ベルギー国境、あるいはオランダ国境は、郊外の森の中であったり、町の中を走っていたりで、川や柵があるわけでもなし、どこも歩いて越えられる。ヨーロッパの領土の複雑さを象徴するような場所ともいえる。 この、あるような無いような国境が仇となり、1944年10月、米軍がアーヘンに攻め込んだ。これによってアーヘンは、ドイツで初めて連合軍に占領された都市となったのである。 米軍により市民が受けた被害は絶大なもので、翌年、アメリカ人との混血児がたくさん生まれたというが、終戦後のドイツは、暴かれたホロコーストの罪業に押し潰され、自分たちの被害を訴えることは叶わなかった。 アーヘンには、もっと古い歴史の痕跡もある。8世紀末、のちに「ヨーロッパの父」といわ