今日は実家に帰って本棚を整理していた俺だが 気に留めたこともなかった小さなアルバムを開いてみた 表紙がこんなに黄ばんで古いのは俺のアルバムではない 見ると中の台紙は粘着式ですらなく 四隅にあたる部分に三角形のシールを貼り写真をホールドする旧式 写っていたのは若き日の父親であった 父親は自衛隊の制服を着ていた 彼が陸自に居たことは知っているが 当時を語ることはほとんどなく 写真が残っているとも聞いたことがなかった 父は写真を切り抜いて斜めに貼ったりとなかなか凝ったことをしていて そのほとんどに一言ずつコメントを記していた 青っぽく褪せた見慣れた癖の文字で 子供としてはあの父がこんな文章を書いたのかと驚かされたが なかなかにブンガク青年であったことが その屈折具合からもうかがわれ微笑ましい というよりむしろ自分の書いた文章を見ているようなむずがゆい気分である*1 保存状態が悪かったためか写真は