インフレ目標も成長戦略も達成できず、野放図な財政拡大を招いた「異次元緩和」 リフレ派と30年前に論争、元日銀金融研究所長の翁邦雄さんに聞く 原真人 朝日新聞 編集委員 安倍政権によるアベノミクスも、日本銀行の異次元緩和も、その源流は「インフレもデフレも貨幣的現象」と主張するリフレ論にある。その是非をめぐる論争は1990年代前半に始まった。 リフレ派の重鎮で、その後、安倍政権下で日銀副総裁も務めることになる岩田規久男・上智大教授(当時)と、日銀を代表する論客の翁邦雄・調査統計局企画調査課長(当時)の間で繰り広げられた「岩田・翁論争」だ。リフレ論を実践した異次元緩和はいったい何を成し遂げ、世の中に何をもたらしたのか。論争の当事者、翁氏に聞いた。 〈おきな・くにお〉 1951年生まれ、1974年東京大経済学部を卒業し、日本銀行入行。シカゴ大Ph.D取得。日銀金融研究所長、京都大教授などを経て、現