小林さんが2010年に語学に堪能な友人らの協力を得て調べた結果、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イタリアなどすべての国が全世代で死亡者はゼロだった。 海外の柔道強豪国の柔道連盟やスポーツ機関、病院など1件1件メールを送り、粘り強く問い合わせた。なかでもフランスは柔道人口が60万人と日本の4倍以上に上るが、重篤な事故や事件は起きていない。 小林さんは調べた事実をすぐさま文部科学省に報告した。 「ほかの国で柔道事故は起きていません。日本は異常なんです」 ところが、文科省の担当者には「そんなわけありません」と言って信じてもらえなかったそうだ。日本でこれだけ事故が起きているのに、もっと柔道人口の多い他国でゼロなわけがない――そんな受け止めだったのだろう。 20数年間で100人以上が学校で柔道をしていて命を失っていたのだから、無理はないかもしれない。文科省が多