春画は日本では「ポルノ」というレッテルが貼られ、大々的に美術展を開くことはタブーとされてきた。が、この9月19日から日本美術史上初の試みとして、東京・文京区にある民間の美術館「永青文庫」で春画展が開かれることになった。今後、春画を楽しむ文化が日本でも広がりそうだ。 * * * 春画の最大の魅力は、画面からほとばしる“生命力”にあると永青文庫の三宅秀和・学芸課長は解説する。 「多くの絵師は春画で人が愛し合う姿を正面から描きました。性愛は人間の生きる根本であり、春画は人間の根源的な生命力の表現と言えます」 大胆にデフォルメした性器と共に不倫、男色、自慰、青姦など、身分や場所などを問わない野放図な愛の営みを描く春画について、現代人は野蛮で淫らなものとしがちだ。しかし、江戸の人々にとっては、実生活に根ざした実用的な価値があった。 「豊穣な性の営みが描かれた春画は、子孫繁栄の願いを込めた嫁入り道具と