東北大学大学院生命科学研究科教授 千葉 聡先生 1986年、東京大学理学部地理学教室を卒業。東京大学大学院理学系研究科を経て、現在は東北大学大学院生命科学研究科生態システム生命科学専攻教授。四半世紀にわたり、小笠原諸島の生態系を研究 小笠原は、カタツムリの楽園 松尾貴史(以下、松尾) 進化生物学者の千葉聡先生は、小笠原諸島で四半世紀にわたり、カタツムリの生態を追い続けているとうかがいました。まず、小笠原諸島について教えてください。 千葉聡(以下、千葉) 小笠原諸島とは、東京湾から南に1000キロメートル以上離れた、太平洋上にある島々です。よく"絶海の孤島" という表現がありますが、小笠原の周囲はまさに絶海といえます。それぞれの島はとても小さく、いちばん大きな父島でも面積は約25平方キロメートル。クルマで道路を走ると1周約30分でまわれてしまうほどのサイズです。 松尾 本土から1000キロも