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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (11)

  • イギリスの歴史の教科書に嘘は書いていないが本当の事も省かれている

    世界史を学ぶほど、イギリスが嫌いになる。 奴隷貿易、インド支配、アヘン漬け、三枚舌外交など、悪い印象しかない。アフガニスタン紛争やパレスチナ問題など、今なお続く厄介な問題を手繰っていくと、きっとイギリスの悪行が見つかる。にもかかわらず、イギリスが代償を支払ったことは見たことがない。 仮に、歴史の審判なるものがあるのなら、その目はイギリスを素通りしている。でなけりゃ、審判自体が存在しないか。 そんなイギリスが、自国の教科書に何と書いているか? 植民地支配を「なかったこと」にしているのか。あるいは、不都合な事実を歪曲してほっかむりをするのか。さもなくば、嘘八百を並べ立てているのか。 イギリスの中学の教科書『The Impact of Empire/帝国の衝撃』を読んでみた。 イギリスには、日のような教科書検定制度は無い。 だが、学習指導要領に相当する、ナショナル・カリキュラムに準じる必要があ

    イギリスの歴史の教科書に嘘は書いていないが本当の事も省かれている
  • この本がスゴい!2016

    人生は短く、積読山は高い。 せめては「死ぬまでに読みたいリスト」を消化しようとするのだが、無駄なあがき。割り込み割り込みで順番がおかしくなる。読了した一冊に引きずられ、リストは何度も書き直される。 重要なのは、「あとで読む」は読まないこと。「あとで読む」つもりでリツイート・ブックマークしても読まないように、あとで読もうと思って読んだ試しはない。だから、チャンスは読もうと思ったそのときしかない。実際に手にとって、一頁でも目次でもいいから喰らいつく。勢いに任せて読みきることもあれば、質量と体力により泣く泣く中断するもある。かくして積読山は標高を増す。 ここでは、2016年に読んだうち、「これは!」というものを選んだ。ネットを通じて知り合った読書仲間がお薦めするが多く、それに応じてわたしのアンテナが変化するのが楽しい。わたし一人では、数学経済学歴史学、進化医学や認知科学の良を探し出せな

    この本がスゴい!2016
  • 名著『思考する機械 コンピュータ』

    コンピュータの原理から、思考するコンピュータへの可能性まで、わずか250頁に圧縮されている。古いのに古びない名著。 コンピュータの技術はあっという間に陳腐化するが、書は無縁だ。なぜなら、これはコンピュータサイエンスの原理や概念を取り上げ、なぜそのような概念が必要なのかを解き明かすから。著者は、コンピュータの質を、誰でも分かる言葉で書きたかったのだ。コンピュータを構成する物質―――トランジスタやシリコンチップといったテクノロジーが時代遅れになり、他の物質に置き代わったとしても、そのまま正しい考察として通用する原則を書きたかったのだ。 書は、コンピュータの基礎から始め、チューリングマシンや状態遷移、論理演算やアルゴリズム、並列処理、量子コンピュータから人工知能まで、一気通貫に駆け抜ける。子どもの頃に棒と糸でコンピュータを作った話や、講演会で「ドアにコンピュータが付く時代になるんだって!?

    名著『思考する機械 コンピュータ』
    userinjapan
    userinjapan 2014/07/15
    思考の実体は化学反応と電気信号という物理的な存在なのだからコンピュータと呼んでも良いだろう。
  • 知性の性差という地雷『なぜ理系に進む女性は少ないのか』【リンク追加】【2019.9追記】

    「女ってバカだなぁ」こう自問する瞬間がある。 もちろんこの問いそのものが間違っていることは分かっている。バカな男がいるように、バカな女がいるだけの話だし、そもそもわたしの母・嫁・娘だけで一般化することにムリがある。一番バカなのは、問うたわたし自身だ。男女のスレ違いを如実に表わしたコピペ「車のエンジンがかからないの…」の正解は、二行目で「それは大変!僕が送っていくよ」だ。オスカー・ワイルドの「女とは愛すべき存在であって、理解するためにあるものではない」を噛みしめながら、ヴィトゲンシュタインの「語り得ぬものについては沈黙しなければならない」を守るべし。 だが、あえて問うたのが書だ。 発端はハーバード大学学長ローレンス・サマーズの発言。数学と科学の最高レベルでの研究において、統計的に見ると、男性より女性が少ない適性を持つかもしれないと述べたのだ。これは「女性が科学・技術・工学・数学のキャリアに

    知性の性差という地雷『なぜ理系に進む女性は少ないのか』【リンク追加】【2019.9追記】
  • 「ローマ人の物語」の種本?「ローマの歴史」

    ベストセラー「ローマ人の物語」のタネだという噂だが、それはウソ。もし当なら、塩野七生はもっと面白いを書いただろうから。 モンタネッリの「ローマの歴史」はそれくらい抜群の面白さで、文字どおりページ・ターナーやね。一方、これをネタにした類書は、水で割ったワインのように薄い。そういう意味で、書は、ムダを削ぎ落としたモルツ100%の極上のウィスキーになる。 著者はローマ在住のジャーナリスト。歴史学者の「解釈」を鵜呑みにせず、一次資料にあたるところは、"小説家"塩野七生と同じ。自分の判断を信じ、迷ったらより面白いほうに倒す。「人物」に焦点をあて、キャラ化することで人間くさい感情の動きを再現し、判断の理由を生々しく描写する。すべての歴史は(それぞれの時代にとっての)現代史なのだから、過去の行動は原因と結果によって律せられているはず。歴史とは一連のストーリー付けされた因果なのだ。その真偽はともか

    「ローマ人の物語」の種本?「ローマの歴史」
  • マクニール「世界史」はスゴ本

    800ページで世界史を概観できる名著。 「シヴィライゼーション」という文明のシミュレーションゲームがある。暇つぶしのつもりで始めたのに、暇じゃない時間まで潰されてしまう危険なゲームだ。マクニール「世界史」もそう。それからどうなる?なんでそうなる?に次々と答えてくれる書は中毒性が高く、読むシヴィライゼーションといってもいい。 ゲームのように面白がれないが、ゲームのように熱中して、マクニール「世界史」の最新完訳版を読む。世界で40年以上にわたって読み続けられており、blog/twitter/tumblr でスゴいスゴいと噂には聞いていたが、たしかに素晴らしい。何が良いかっていうと、「眠くならない歴史」であるところ。 話は少しさかのぼる。流行に乗っかって教科書開いたはいいが、あれだね、睡眠導入剤として最適だね、山川世界史。パブロフのなんちゃらのように、開いた途端、急速に眠くなる。「メソポタミア

    マクニール「世界史」はスゴ本
    userinjapan
    userinjapan 2010/03/05
    学生時代に趣味でフェルナン・ブローデル(和訳)読んだのが懐かしい。酷い訳文だった。
  • スゴ本100

    いつのまにか1000エントリ超えてたので、ここらで100に絞ってみる。 このblogで「スゴ」認定されたもの、企画「この○○がスゴい」で挙げられたものを、100にまとめてご紹介。順序適当、偏見なし、ビジネス、サイエンス、エロマンガ。ブンガク、ビジュアル、なんでもアリ、啓蒙、アダルト、劇薬なんでもござれ。「ノンフィクション」、「フィクション」、そして「劇薬系・成人指定」の三立てでご紹介。番号は便宜上つけたものなので、ランキングにあらず。 こんなにスゴいに出合えたのは、すべてあなたのおかげ。いいはたくさんあるのだが、全部読んでるヒマもないし、探している時間も足りない。だからわたしは、スゴいを読んでいる「あなた」を探す。あるいはこのblogにやってきた「あなた」の言を待つ。そうしたツッコミやアドバイスをいただき、とても感謝しています。 この100リスト全て鉄板モノだが、「それをスゴ

    スゴ本100
  • 大学教師が新入生にすすめる100冊

    恒例の100冊リスト。 ただし、これまでの趣向を外した。「ベスト100ランキング」は楽しいが、変わりばえしない。毎年似たような「ベスト100」をヒネり出すのも飽きた。ホントのところ、「大学新入生」と銘打っているものの、わたしのためのブックリストなのだ。読んできたやつ、未読のやつ、読みたいやつを抽出したりふり返るためのきっかけなのだから。 だから、今回はランキングをしない。母体のリストは、「大学教師が新入生にオススメする」なんだけれど、そこからの選出はわたしの手になるもの。今までのリスト作成の過程で知り合えたものや、「読まねばリスト」に追加したもの。積読山に刺さったまま、課題と化しているものを中心に100挙げた。 もちろんこの100冊を参考にしてもいいし、母体リストから自分専用の一覧を作ってもいい。母体のリストは三千弱になるが、元となったのは、以下のリスト。ブックガイドは多々あるが、「大学

    大学教師が新入生にすすめる100冊
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 最も古い「最近の若者は…」のソース

    「近頃の若いやつときたら…」という枕詞は、「なっとらん」と続き、さらに「わしが若い頃は…」と説教モードになる。これは「たらちねの→母」や、「とりあえず→ビール」と同様、慣用句として扱われるべき。したがってこの場合は、「母」や「ビール」と言いたいように、「わしが若い頃は…」と自慢話がしたいだけ。 そんなジジイババア連中も、「若いやつ」だったときがあり、その当時は、やっぱり「最近の若者は…」とやり玉に挙げられてた。そして、耳に痛い「なっとらん」部分を更生しないまま、オッサンになり、ジジイになる、オバサンになり、ババアになる。 ■昔から言われていた「最近の若者は…」 変わったのはツラの皮の厚さだけという爺婆に向かって、「そのセリフ、大昔から言われてたんですよね」なんて返すと、途端に防御の姿勢をとる。自分がそう言われていたことと、その「欠点」がエエトシこいても直っていないことに思い至るのか、顔を真

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 最も古い「最近の若者は…」のソース
  • この本がスゴい2008

    今年もよい出会いがあり、それはあなたのおかげ、とても感謝しています。 ここでいう「あなた」とは、親切にもコメント欄よりオススメいただいたアナタだけでなく、某所で罵倒しまくってたキミも含まれる。なぜなら、「○○がスゴいんだってーフフン、じゃぁ△△読んでないだろ」なーんて教えてくれたから。 ありがたいのはまさにソレ、「そんならコレを読め」と言ってくれる方は、○○も△△も読んでる。わたしが知らない△△を、わたしが読んだ○○から教えてくれるのだから、これほど有益なものはない。 わたしが知らないスゴは、きっとあなたが読んでいる所以はここにある。反面、これができずに唯我独尊を貫くと、非常に限定された世界の読書王となる。なまじ蓄積があるだけに、外からのアドバイスが受け入れられず、読書はすべて自意識の確認作業となる。気の毒だけど、よい反面教師だ。この道は、いつかきた道。わたし自身が陥らないよう、用心用心

    この本がスゴい2008
    userinjapan
    userinjapan 2008/12/01
    毒薬エントリ
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: いきなりコンサルタントに抜擢されたSEが読むべき5冊

    上長から「来週からコンサルタントとして○○社に入ってくれ」なんて言われたときに、あわてないための5冊。以下の条件全部にあてはまる人のための選書なので、関係ない方はスルーしてくだされ。シリーズ化しつつあるエントリ( [その1]、[その2] )だが、ここらでまとめ。 システム開発チームのメンバーまたはリーダー 顧客の御用聞きを「コンサルティング」だと思っている ←これ誤り McKinsey や accenture といった「ファーム」と一緒に、顧客の中に入って仕事しなければならなくなった これまで、即効性と実用性で4冊レビューしてきたが、このたび5冊目として扱いたいガイドを見つけた(4冊目)のでまとめてご紹介。 ■最初に結論 コンサル会社がやっている「コンサルティング」は、決まりきった手順や方法を粛々と実行しているに過ぎない。目標に対して泥臭いぐらい愚直に反応する。そうしたメソッドと沢山持って

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: いきなりコンサルタントに抜擢されたSEが読むべき5冊
    userinjapan
    userinjapan 2008/02/11
    書評 コンサルタント コンサルティング ロジカルシンキング
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