(C) 帝国書院 「教科書的」という表現がありますね。「当たり障りのない」といったような意味で使われますが…。実際の「教科書」を覗いてみると、実に「当たり障りのある」世界が展開していたりします。 学校を卒業してから、かなりの年月が過ぎ去っているのですが、ふとしたきっかけで、「世界史の教科書」の読書を楽しむようになりました。それぞれに、著者の方々の想いがほとばしっており、とても読み応えがあります。これから、何回かにわけて、お気に入りの「教科書」をご紹介したいと思います。 帝国書院の『新詳 世界史B』(教科書番号:世B-020)は、高校世界史の革新をリードする「異端の教科書」です。著者の中心となっている川北 稔氏(阪大名誉教授)は、日本に「世界システム論」という歴史理論を広めた人。「世界システム論」とは、乱暴な言い方をすれば、世界史の流れを、“世界が一体化し「ひとつの生き物」のようになっていく