自分たちの商品、サービスに慣れてしまうと、本来の価値を忘れてしまうことがある。きちんと理解しているつもりでも、日常に流され見過ごしてしまうのだ。自分たちの商品、サービスへの思い入れがなければ会社はよくならない、それを再発見したときに新たな扉が開く。 男性化粧品で国内首位を走るマンダムもいま、まさにその扉を開けようとしている。そのドアノブに手をかけたのは、理系女(リケジョ)の緻密さと執念(“しつこさ”)だった。 「根っからの検索好きなんですよ」と、Eビジネス準備室の伊達亜希子ははにかみつつほほ笑んだ。 もともと伊達はマンダムの中央研究所で、日夜、ヘアスタイリング剤の開発をしてきた。そのかたわら他社製品の情報を調べたり、アジア市場の動向を調べたりとネット検索にも余念がなかった。 入社して3年ほど経ったころ、欧米圏の友人にネット上で面白い現象が起きていると教えられた。 「実際、調べてみ