東京一極集中是正論のなかで、よく聞かれるのが、「東京への一極集中が加速している」という話だ。「東京がブラックホールのように若者を際限なく吸い寄せる」との見方もある。だが、東京都の人口の全国シェアは、50年前も今も10%強で変わらない。事実関係をまず確認しておこう。 参考1は、東京都、首都圏、大阪圏、名古屋圏の人口(1920年~)と同地域の生産年齢人口(15~64歳、1970年~)の全国シェアを示したものである。 グラフから明らかなように、東京都の人口シェアは一極集中の姿からはほど遠い。最近若干上昇したとはいえ、1970年代半ばの水準をようやくとり戻した段階にすぎない。「東京一極集中」とは、人口に限ればあくまで首都圏の話である。 また、首都圏にしても、人口シェアが本当に加速していたのは、(1)戦前(1920年~)と、(2)戦後から1970年頃までの2つの時期である。その後は、――「加速」では